スペイン語文法ノート 英語では聞いたこともない代名動詞。一体どんな動詞なのか、そしてどんな場合に、どういった使い方をするのか、その分類や用法を見てみましょう。




自動詞の役割をする代名動詞


Última actualización: 17 de abril 2016


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他動詞 (verbo transitivo) と自動詞 (verbo intransitivo)

代名動詞とは何かのところでも説明しましたが、代名動詞の分類のひとつとして、もともと他動詞である動詞を自動詞にするという特徴があります。自動詞にするといっても、その動詞自体の種別が自動詞になってしまうということではなく、自動詞のような働きをするという意味です。

ここで、いちおう他動詞と自動詞とはどういった動詞なのかを確認しておきましょう。

英語でも同じですが、その基本的な違いとは、他動詞は「目的語」を必要とし、自動詞にはそれが不要(使用しない)であるということです。

「起きる」と言えば、主語となる行動主自身が「起きた」のだということになりますが、「起こす」と言った場合、「誰を」起こしたのかという目的語がなければ文章が成り立ちません。そこで、目的語が必要になってくるのですが、その目的語(受動主)に対して、行動主がアクションをおこすことでその影響を与える、つまり、行動主から受動主に動作が移行する(transition) ということから、他動詞 (verbo transitivo) と呼ばれます。それに対して、「自動詞」は、相手を巻き込まず、行動主、あるいは主語となる対象自身の中で完結する動作を表すものだと言えるでしょう。


Carmen abrió la puerta.
(カルメンはドアを開けた。下線は目的語)―他動詞
Entraron por la puerta más grande.
(彼らは一番大きなドアから入った。)―自動詞
Comieron fruta en el desayuno.
(彼らは朝食に果物を食べた。下線は目的語)―他動詞
Almorzaron en aquel restaurante.
(彼らはあのレストランで昼食を取った。)―自動詞

では、どんな動詞でも目的語をつければ他動詞になり、つけなければ自動詞になるというわけではありません。ここら辺が日本語と異なり、不便な点でもあるのですが、目的語を持たせて表現できる動詞なのかそうでないのかということは、個々の動詞によって違うのです。

英語では、surprise など「驚かす」という他動詞としての用法しか持たない動詞もありますが、かなりの数の動詞が「他動詞」「自動詞」の両方の機能を持っています。ところが、スペイン語では、動詞もありますが、両方の用法を持っている他動詞、あるいは自動詞としてしか機能しない動詞が多いのが特徴です。詳しくは、スペイン語の常用動詞を参照ください。






自動詞的な用法

では、「他動詞」としての用法しか持たないスペイン語の動詞を使って、「自動詞」的な表現をする場合はどうしたらいいのかという疑問が出てきます。

上で挙げた英語の surprise などであれば、単純に「受身形」にして、
I was surprised at his reaction. (彼の反応には驚いた。)
といった表現をすることができますが、スペイン語ではそういうわけには行きません。もちろん、強引に受身形にして、
Fue sorprendido por su reacción.
と表現することもできますが、どうもスペイン語らしくありません。スペイン語の受動態の考え方でも述べていますが、スペイン語では「be 動詞 + 過去分詞」のような受身形はほとんど使われません。

そこで、「代名動詞」によって「自動詞」の用法を代用するというわけなのです。


たとえば、「座る」という動作を考えてみましょう。英語の sit では、自動詞の「座る」という用法があるのですが、スペイン語の sentar には「座らせる」という他動詞的用法はあっても、「座る」という自動詞的用法はありません。そこで、再帰代名詞を伴う代名動詞 sentarse を使うことで、

sentar --> sentarse
私は座る me siento
君は座る te sientas
彼/彼女は座る se sienta
私たちは座る nos sentamos
君たちは座る os sentáis
彼らは座る se sientan

という自動詞の表現をすることができます。




La madre sienta al niño.
(母親は子供を座らせる。下線は目的語)―他動詞
La madre se sienta.
(母親は座る。)―代名動詞(自動詞化)
Acercamos la silla a la mesa.
(我々は椅子を机に近づけた。下線は目的語)―他動詞
Nos acercamos a la mesa.
(我々は机に近づいた。)―代名動詞(自動詞化)

このように、他動詞を代名動詞として表現することで、他動詞から自動詞的な意味に変えることができます。

なお、上の例で挙げた sentarse は、levantarse などと同様に、文法書によっては「再帰動詞」として分類されている場合があります。





微妙なニュアンスの違い

また、他動詞だけでなく、自動詞の両方の用法を持っている動詞であっても、代名動詞として使用することで、微妙な意味の変化が出てくるものがあります。たとえば、abrir という単語を見てみましょう。

辞書を引くと、他動詞の意味の後に小さく「開く」という自動詞の意味が書かれています。このため、わざわざ abrirse の形を使わなくても問題なさそうです。あるいは、どちらの形を使っても同じだと思ってしまかもしれません。しかし、そもそも、不定動詞 (abrir) と代名動詞 (abrirse) の両方に「自動詞」の意味があるとすれば、何らかの用法の違いがあるはずで、この場合、不定動詞の自動詞は限られた用法でしか使われません。

Carmen abrió la puerta.
(カルメンはドアを開けた。下線は目的語)―他動詞
Esa nueva puerta abre bien (mal).
(その新しいドアはよく開く(開きが悪い)。)―自動詞
De repente, la puerta se abrió.
(突然ドアが開いた。)―代名動詞




不定動詞の自動詞の意味は、ドアの開きが良い・悪いといった機能面のことを言っています。よって、一般的に「ドアが開いた」などという場合は、代名動詞を用いて表現するのが普通です。

その他、自動詞の意味と代名動詞の意味が異なる動詞には以下のようなものがあります。

動詞 代名動詞
cerrar 閉まりが良い・悪い cerrarse 閉まる
dormir 眠っている dormirse 眠りにつく、しびれる
ir 行く irse 行ってしまう、去る、死ぬ
quedar (ある場所に)残る quedarse (物・記憶などを)保持する、選択する