鵜来島遠征

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2007年12月13(木)〜15日(土)

プロローグ

 “鵜来島”。四国のきっての“大グレ”場“沖ノ島”のすぐとなり。ここも“大グレ”で超有名な釣師憧れのアイランド。このところ数年、機会に恵まれず遠征釣行がなかったところへひょんなところからお声がかかった。「年2回“鵜来島”に遠征してるけど、一緒に行かへん?」とクライアントのOB釣クラブの一員K氏(現役)に誘われ、即答で「行きます」。

かくして、久々の遠征釣行とあいなった。参加者は10人。滋賀組・京都組、各5人が2台の車に乗り合わせて、“鵜来”を目指す。

心待ちにしていた出発当日(12日)。朝、仕事場にK氏から電話。「体調崩して行けんようになってしもた」とのこと。他のメンバーとは面識が無いので少し気が重いが、いまさらキャンセルは出来ない。「同じ釣師同士、話も合うやろ」と気をとりなおした。6時半に筆者の職場まで迎えに来てくれるということで待っていると、K氏も同乗している。「誰も知らんやろし、紹介だけして帰るわ」とわざわざ来てくれたようで、SK氏とST氏を紹介してくれ、「バスで帰るわ」と去って行った。「行きたかったやろな」とSK氏。ともあれ、SK氏の車に荷物を積み込み出発。途中、豊中でもう一人の同乗者、MB氏と合流。合流に少し手間取ったが、話が長くなるので割愛する。さらに、滋賀組との合流についてもトラブルがあったが、これも割愛。ともあれ、山陽自動車道⇒瀬戸大橋⇒高松自動車道を経て高知自動車道を南下。途中のPAで滋賀組の5人と合流し宿毛の港を目指す。道中、コンビニで朝食と飲み物を仕入れ、釣具屋に立ち寄り消耗品の補給も万全。3時頃、宿毛港に到着した。ここまで、京都組は、全行程SK氏が一人で運転してくれた。お疲れ様でした。

餌は最近できた港のすぐ近くにある餌屋さんで入手。真っ暗な宿毛港に浮かぶ家中渡船に荷物を積み込む。9人分の釣具・クーラー・着替えなど結構重労働である。出船まで船室で仮眠した。5時半になりエンジンがうなりを上げ、しばらくアイドリング。ユルユルと岸壁を離れ、外海に出たところで全速力。グオオオオーという轟音を40分聞いたところでスピードダウン。鵜来島の港に到着。


港の石碑。来ちゃったもんね。


第一日目

 港に待っていた10人ほどの泊まり客を載せて、再び外洋へ。優先権のある泊まり客から磯渡しをしていく。MB氏とST氏がペアで“イカリモト”に上礁。筆者とSK氏のペアは港から出てすぐ右の地磯(後で調べると“地”と呼ばれているようだ)に上礁。SK氏によると、以前大釣りをした実績磯とのことで期待が膨らむ。湾内ということもあり波はほとんど無く、潮も動かない。こんなとこで釣れるんやろか?と思いながら竿をセット。SK氏が船着で竿を出し、筆者は左の高場から竿を出した。北西の風が強く、本来風裏であるにもかかわらず回りこんだ風が後ろから前から吹き付ける。しばらく餌盗りも無い状態が続く。SK氏も「こんなはずや無いんやけど」とボヤキはじめる。

そこへいきなり竿先が引き込まれ、強烈な引きが襲ってきた。「来た!」とSK氏に叫んだところで、竿先が跳ね上がり道糸からラインブレーク。やはり離島、地磯とはいえ侮れない。気合を入れなおして打ち返していると、また先程と同じようなアタリ。「今度は捕るぞ!」と竿を立てて耐えていると、バキッ!!。竿が折れた。竿は折れたが魚はまだ外れていない。リールを巻くと青い魚体が足元に浮いてきた。ハリスを手繰って抜き挙げる。50cmほどの細長い魚である。SK氏に「これ何やろ」と聞いても「知らんけど、あんまり美味そうやないな」とのこと。とりあえずクーラーにキープ。その後、パッタリ、アタリが無くなり、餌も残ってくる。SK氏が“水玉模様の海蛇”(の様なもの)を釣り上げただけで第1日目は終了。港に戻ってこの日の釣果を見せあいっこ。滋賀県組は“ドンタク”周り(港を挟んで対岸)で竿を出したそうだが、5人合計で30〜40cmを20枚ほど釣っていた。ボウズの人もいたようだが、対岸の“地”は2人ともボウズというのはどういうこと?“イカリモト”の2人も4枚ほどの釣果をあげていた。筆者が釣った謎の魚は“アオチビキ”と判明。一応お持ち帰りの仲間入りをはたした。


ここが“地”残念ながらボウズポイント。釣り人はSK氏。


“アオチビキ”網を噛んで放さない。獰猛なヤツ。

宿は家中渡船の民宿。風呂に入り、5時には食事の仕度ができており、まずは、ビールで乾杯。釣りたての“グレ”の刺身はあっという間になくなってしまうほど美味しい。明日、どこに上がるかなどとワイワイガヤガヤ。明日の組み合わせもこのとき決定。TK氏とIG氏との3人で“グンカンの高場”狙いとなった。食べ終わると、全員部屋に引き上げ、すぐに高いびき。



第二日目

 朝4時半に誰かの目覚ましが鳴った。10時間近く寝ていたようだ。ともかく顔を洗って5時に朝食。仕度をして港に集合。昨日に引き続き風が舞っている。今日の磯割りは“グンカン周り”。この風で“グンカン”に乗れるかどうかは出たとこ勝負。港を出た船は“シロイワ”に着けた後、“グンカン”に向かう。波を乗り越えるたび、体が撥ねるのを手摺にしがみついて耐えていると、目の前に黒い岩の塊が出現。目の当たりにした“グンカン”は「いかにも」という迫力がある。波は被っていないがとにかく風が半端ではなく、へばりついていないと飛ばされそう。とても竿を振れるような状態では無い。それでもTK氏は上がる気マンマンだったが、その他の「やめとこ」の合唱にあきらめ、“水島群島”に向かう。

風裏となる“水島1番”の内向きにSS氏を含めた4人で上礁。“水島2番”向きに竿を出すことになるが、船着で4人は窮屈そう。サラシも大きく釣り辛そうなので、右奥に荷物を移動し竿を出すことにした。ここは波も比較的穏やかで、右に風をさえぎる岩壁があり釣りやすそう。竿2号に道糸・ハリス3号ではじめる。ウキが沈んで最初に竿を曲げたのは“ベラ”。しばらくして、またウキにあたり。今度は“グレ”らしき引きで、楽しんでやりとり。浮いてきたのは35cmほどの“グレ”「“鵜来”初釣果や」とシゲシゲ眺め、感慨にひたる。続けて、40cmが竿を曲げてくれた。少し間をおいて、同サイズ。とダンダン調子が出てきた。と思ったらパッタリ喰わなくなった。気まぐれな魚である。弁当船が来て、受け取りに船着に戻る。船着の3人は背後の岩を越えてくる波しぶきを時折浴びながら頑張っているが、まだボウズとのこと。一度TK氏に強烈なアタリがあったそうだがバレてしまったそうだ。弁当をゆっくり食べて、実釣再開。しかし、“グレ”の喰いは渋く、その後は1回鈎外れのバラシと35cmほどを1枚追加して終了。最後まで強風は治まらなかった。


2日目の釣果は、初日の半分ほどで10枚前後。他の磯も喰いは渋かったようだ。夕食時も2日目ともなるとかなり会話に入れるようになり和気藹々。天気予報を分析して「明日は風も治まるやろ」という結論に。最終日は、“ホトバエ”周り。リーダーのTD氏、初日一緒のSK氏と“イカリモト”にあがることに一応決定。


2日目の水島1番。船付の3人。遠くに見えるは、“沖ノ島”チョイナチョイナ。


ちょっとピンボケだけど、水島1番で釣れた“グレ”ちゃん。


第三日目

さて、一夜明けて仕度をして港に降りる。風は相変わらずで「昨日より強いんちゃう?」という意見も。「3日間とも吹かれたこと初めてや」とTD氏。港を出ると、風がビュンビュン。「風裏で無いと大変やナ」と思っているうちに“ホトバエ”に着いた。ここにはTK氏はじめ4人が渡礁予定だったが、まともに風を受ける。「どうすんの?」と見ていると、上礁を開始。ロッドケースを飛ばされながらもなんとか無事に渡り終えた。次に、“イカリモトの西”に船が着き、MH氏とST氏が上礁。最後に、予定通り“イカリモト”に3人で上礁した。

風裏になる東向きに右からSK氏、真ん中にTD氏、奥のワンド側に筆者と3人並んで竿を出す。10mほどに根が頭を出していて沖に向かって伸びている。その根の周りを流していくが全くアタリが無い。他の2人も同様で「あかんなー」という嘆きばかりが口を憑く。弁当船にMH氏とST氏が乗ってきて上礁してきた。「何や?」と思っていると手カギを持って裏側へ直行。タックルバックを落っことしたそうで、“イカリモト”に流れ着いたようだ。無事回収を終えた2人は再び乗船して磯替えしていった。 その後も、全くアタリ無く、時間だけが過ぎていき、竿が曲がったのはTD氏が“ツバメウオ”を掛けた1度きり。惨敗の3日目だった。とうとうSK氏は3日間ボウズを喰らってしまい。「過去最悪や」と嘆くことしきり。


撤収船に乗り込むと“ホトバエ”のTK氏が強風の中48cmの“グレ”をしとめたとのこと。結局これが今回のレコードとなった。船はそのまま宿毛に向かい、40分後宿毛港に到着。手分けして荷物を陸揚げ。魚の入った大型クーラーバックは2人掛りで移動した。港で魚を分け、それぞれの車に別れて乗車。途中温泉に寄り、3日間の疲れを洗い流し、さっぱりしたところで夕食タイム。食事前に精算をしたが1人あたり5万円を切る低予算だった。


今回の最長寸。TK氏の48.5cm。


3日間の釣果、その1。


3日間の釣果、その2。


エピローグ

温泉で滋賀組と別れ、また高知自動車道に乗り帰路についた。高知道のSAで会社の同僚と奥様にお土産を買い込んだ。帰りは今回の釣行のことで話が弾んだ。深夜0時過ぎに京都に到着。車に荷物を移し、ズーット運転していただいたSKにお礼を言って別れた。が、せっかく買ったお土産をSK氏の車に置き忘れたことに気付き、落ち込みつつ帰宅した。(その後連絡を取り、お土産はSK家で消費してもらった)

風に悩まされ、いつになく貧果に終わったとのことだが、メンバーが皆さん楽しい方々で十分満足な釣行だった。次回は来年6月とのことで、スケジュールが合えばまた参加したいと思っている。


お世話になった家中渡船さん。また行くねんネ。


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