「通弁」クリエイティブ翻訳
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英文マニュアルを作りたい

わかりやすさと正確さ

マニュアルの表現で大切なのは、わかりやすさと正確さです。商品を操作しながら片手に持って読めるくらいの簡便性が必要であり、そのためには、文章は短いことが条件です。用語の長短の差もありますが、長くとも15ワードくらいには納めたいものです。

正確に表現しなければならないからといって、やたら一文に多くの修飾語を増やすと長くて読みにくい文章になってしまいます。特に日英翻訳の場合、原文の日本語自体が長くなりますので、直訳した場合はもっと英文が長くなり、加えて、原文の修飾部分を表現するための関係代名詞・関係副詞の数も増え、パズルのような「入れ子状態」になってしまいます。これでは、商品を操作しながら読むというよりは、机にかじりついて意味を解読しなければならないような労力を強いられてしまいます。

また、カタログなどの翻訳ライティングでも同様ですが、このブロックでは何を説明するのかという「結論」を先に述べることも重要です。マニュアルは、最初から最後まで一通り読んで終わりというものではなく、疑問が生じたり、操作を確認するために何度でも参照すべきものですので、該当する情報に即座に到達できることがポイントです。

クリエイティブ翻訳では、個々の文章をそのまま機械的に翻訳していくのではなく、その文章によってユーザーにどんな操作をしてもらおうというしているのかを頭に置いたうえで、それをいかにスムーズに正しく伝えるかをめざします。言い換えれば、文章を訳すというより操作を翻訳するということができます。同時に、段落内の文章を整理し、できる限り結論を先に述べる文章表現を心がけています。

ユニバーサルな表現

英文マニュアルの場合、商品によってはそれを読む人は英語圏のネイティブスピーカーとは限りません。また、日本の英語教育ではアメリカ英語が主体になっていますが、グローバルでみた場合、イギリス英語のほうがより一般的です。カタログの文章においても同様ですが、広く一般的に通じるスタンダードな英語表現を使用することも大切だと考えます。

マニュアルは正しく商品やサービスを使ってもらうための指示書ですので、英語圏の人に理解できても、英語を母国語としない人たちに理解できないということでは困ります。そのためにも、わかりやすい文章表現が必要になってきます(とは言え、小学生の書くようなぎこちない文章を書くということではありません)。英語圏の人しかわからないような熟語や言い回しを使わない(英語圏でも国によって異なる場合があります)ということです。

たとえば、「取り除く」という場合、take out や get rid of といった英語本来の動詞を使うのではなく、remove といったラテン語源の動詞を使うほうがラテン語から派生した言語を使う人には類似の単語が母国語にもありますので、理解しやすいわけです。同時に、前者のような熟語では複数の意味を持つものもあるのに対して、後者ではそれ以外の意味はないため、誤解の可能性もなく正確であると言えます。10,000といった4ケタ以上の数字表記も英語以外の言語では「コンマ」(,)の代わりに「ピリオド」(.)が使われ、逆に小数点は「コンマ」で表記します。英語圏以外の人がうっかり読み違えてしまう可能性もでてきます。こういったことから、コンマやピリオドを使わず10 000と分かち書きにしたほうがいいとする意見もあります。

「通弁」のクリエイティブ翻訳では、上記のようなことも踏まえたうえで、マニュアルの文章作成を行っています。

効率とコストダウンについて

マニュアルの翻訳は、商品のリリース時期の関係もあり、時間的な余裕もない状況で作業を進めなければならないのが普通です。また、マニュアルの制作費は、商品の価格に反映される場合も多いため、そのコストをいかに抑えるかというのも課題のひとつだと思われます。

当然のことながら、効率とコストは相関関係にあり、作業効率が上がればコストを下げることができます。マニュアルの翻訳ライティング作業の効率化を左右する要素として下記が挙げられます。

@原文自体がわかりやすく正確であること
A専門用語を正確に使用・統一できる方法
B繰り返し箇所やパターン箇所を簡単に見つけ流用できる方法

@については、原作者にゆだねるしかありませんが、翻訳者も読者のひとりとして理解しやすい正確な文章は、翻訳作業もしやすくより良い文章が完成するのは言うまでもありません。詳しくは、コラム 良い翻訳のための良い原文とは?を参照ください。

次にAですが、マニュアル全体を通じて、正確な専門用語が使用され、かつ、その言い方が統一されていることが必要条件です。現在の自動翻訳ソフトはまだまだ実用に耐えないため、自然でわかりやすい翻訳文章の作成は人間系の作業になります。その際、専門用語をすべて記憶にとどめたうえで文章作成をするなどということは不可能であり、人間のすることですので、必ず間違いが起こります。では、エクセルなどで作成した用語リストで逐一確認しながら文章作成をするというのも、分量が少なければいいのですが、現実的とは言えません。そのうち面倒くさくなって記憶に頼って作業してしまい間違いが発生することにもつながります。これについては、機械系で自動的に専門用語を反映させてしまうような仕組みが必要だと考えます。

逆にBについては、同じ文章で表現されていても、その情報の目的や使用箇所が異なるため、人間による手直しが必要な場合があります。機械系にまかせてしまうと、勝手に置き換えられてしまってチェック段階でも気づかないというリスクもあります。ここでは、機械的処理と人間系の作業を組み合わせた半自動的な仕組みが効果的です。

「通弁」では、Aでは、最初の段階で原稿全体に専門用語を自動的に置き換えることで、用語反映プロセスに人間系によって起こる不確実性を介在させない仕組みを使用しています。さらに、自動的に置き換えた用語は、文章作成時に確認、適宜編集を行います。Bについては、自動的な全文一致検索はもとより、文章中で任意に選択した箇所との同一部分を含む文章を1クリックで検索できるような仕組みを活用しています。

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