Last update April 6, 2017
   




城井川はどこに行った?

♪「築城の流れ 水清く…」なんて歌があったが、小学校の校歌だったと思う。そして、この「築城の流れ」というのは「城井川」のことだと教えられたような気がする(ひょっとして勘違いかもしれないし、歌詞も間違っているかもしれないが)。しかし、子供心に「城井川=水が清らか」という刷り込みをされていると、今の現状がかなりキツイ。なぜなら、川がないのである。

というと大げさなので、殆ど「水」がないと言ったほうがいいかもしれない。一面葦だらけで水が見えないのである。これはかれこれ20年近く前に撮った実家近くの城井川の写真であるが、今はもっと水が少ないだろう。もっとも、葦の下にちょろちょろと流れているのだろうが、そんなものは「川」というより「小川」か、もしくは「水たまり」である。いつ頃からこんなになってしまったのか!故郷を置いて出て行ってしまった者の「勝手な言い分」かもしれないが、きれいな田舎にきれいな川がないのは、あまりにも寂しすぎる。これでは、小倉あたりの「どぶ色」の川のほうが水があるだけマシかもしれない(とは思いたくないが…)。

自分が子供の頃は、夏になると、あちこちで水浴びをする子供たちで賑わっていた城井川である。下本庄の水浴びスポットは、小学校の前の吉原店の裏だった。Googleのマップで見ると下の画像がそうだ(写真はGoogleのマップのキャプチャ画面。クリックすると、実際のgoogleマップに飛びます)。

まだ泳げないため浮き輪をつけて浅瀬でバシャバシャと水浴びをする小さな子供から、魚のようにすいすい泳ぐ中学年以上の子供たちまで、毎日のように、みな足の裏以外は真っ黒になって泳いでいたものだ。もちろん、水も透き通り浅いところでは魚が泳いでいるのが見えるほどで、かなり深さのあるところは、エメラルドのようなグリーンだった。同じグリーンでも、くどいようだが、小倉あたりの「どぶ色」のグリーンとは違う。そして、みんなが泳いでいるスポットからさらに上のほうに登ると、通称「清水」と呼ばれている場所があって、ここの水はより深く、温度もひんやりと冷たかったのを覚えている。



それとも、子供の頃だったので大きく見えただけで、実際はこの写真程度の大きさだったのか… 今となっては確かめる術もないが、あの「城井川」が今ではこれか!と思うと何となく寂しいものだ。噂によると、トイレの水洗の下水も流れているというが…。ちなみに、この写真は2013年に撮影されたものらしい。





念のため、「城井川の現状」について何か記事はないかと、ネットで検索してみたら、北九州大学のとある研究室が、「城井川のページ」というのを作ってくれていた。「ちゃんと考えてくれているんだ」と嬉しくなったが、水質検査の研究ページだった。リンク先のデータを覗いてみると、「水温」をはじめ「ナトリウム」だとか「アンモニウム」がどうしたという成分グラフが出てくる。「水質」だから、まあそういうことだろう。「城井川の葦を何とかして、水量のあるきれいな川を取り戻すには」といったプロジェクトを期待したが、それも期待しすぎというものだろう。

それにしても、「葦」である。ご存じ「アシ」とも「ヨシ」とも読むが、ネガティブなイメージが強ければ思わず「アシ」と読みたくなる。聞くところによると、この「アシ」は刈っても刈ってもまた生えてくるというしぶとい植物のようだが、それでも悪いところばかりということでもないらしい。ウィキペディアによると、「自然の浄化作用の上で重要な場所であり、野生動物と環境保護に重要な植物群落」と書かれている。そういう意味では「ヨシ」かもしれないが、たとえ浄化作用があっても、水がなければ意味がないような…。

ヨシには昔からいろんな用途があり、伝統的なところでは、すだれや民家の茅葺などに使われたり、中が空洞なため笛に加工することもできるとか。その他、中国ではパルプにしてトイレットペーパー、滋賀県ではハガキや名刺として活用しているらしい。ちなみに、滋賀県コクヨ工業滋賀さんでは、ヨシを原料とした「リエデン」という製品を開発している。

いっそのこと、築上町でも、城井川のヨシを使った地元工芸品というのもいいかもしれない。「築上すだれ」、「築上葦笛」、「築上茅葺屋根」、「築上再生紙"KiiGami"」で作ったノートやトイレットペーパー(いずれも二番煎じだが)などを作ってメタセの杜で売るのも「ヨシ」(?)。

というわけで、美しく豊かな水が流れる城井川の再生を願って、あれこれとヘタな考えをめぐらしてみるのであった。