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推測されるネイティブチェッカーのタイプと傾向




では、プロのネイティブチェッカーなら、誰に依頼しても結果は同じなのかということを考えてみたい。これは自分の推測にしかすぎないが、同じ内容を別の異なるネイティブに依頼した場合、異なる結果が戻ってくるのではないかと思う(もっとも、そんなコストもかけたくないので、実際にやったことはないが)。

もちろん、文法的な間違いとか、明らかにこう修正すればいいという内容は別だが、ちょっと違和感があるぞといった表現の場合、どう修正してくるかは個人によって違うはずだ。場合によっては、同一箇所をある者は変更するが、別のネイティブは変更しないということもある。

考えてみれば単純なことなのかもしれないが、何かを修正するという場合、正解となる基準があり、それに基づいて修正するはずである。だが、ややこしいのは、数学などと違って文章なのである。「正解」は1つではなく、人によって異なるということだ。

また、その正解は、文法的に間違いのない文章なら OK なのか、それとも、その目的に応じて相応しい読みやすいものとして仕上げる必要があるのかという「見解」によっても違ってくる。それにプラスして、個人の性格―控えめな性格、押しの強い性格というのもある。しかし、性格まで問題にしていてはキリがないので、ここでは、そのネイティブの職業経験によって、ある程度の傾向を分析できないかと考えてみた。言っておくが、これはあくまでも個人的な(ま、独断と言ってもいいが)推測であり、調査をしてみたわけでもないので念のため。

分類 教育系のネイティブ 商業系のネイティブ
定義 英語講師など英語を教えているネイティブ 企業向けのライティングを手掛けてきたネイティブ
観点(重視すること) 英語の文章として正しいか 英語の表現として洗練されているか
基本的態度 文章の作者の表現・意図を尊重し、変更はできるだけ最小限に抑えようとする。そのため、多少英語らしくない表現であっても、そのまま残してしまう可能性がある。 文章の作者の表現・意図よりも、より洗練された、英語らしい表現に変えようとする。チェッカー自身のライティングのスタイルや味付け、好みなどが加えられる可能性がある。
傾向  英語を教えるという経験上、実務としてのライティング経験がない可能性がある。
 自分のライティング・スタイルが決まっていないことがある。
 表現のセンスは職業柄関係ない。
 最新の技術や市場トレンドなどの知識が乏しい場合がある(なくても仕事に支障がない)。

※ただし、会話学校の講師などではなく、正規の資格を持つ教授や教師であれば、アカデミックな内容のライティング経験や指導経験があるため、論文などのチェックには最適。
 実際に文章を書いてきた経験を持つため、実務としてのライティング経験が豊富。
 自分のライティング・スタイルが確立されている。
 業界的に、表現のセンスが重視されるため、よりスマートな表現が期待できる。
 最新の技術や市場トレンドなどの基本的な知識がある(なければ仕事にならない)。



年齢や個人の性格・興味にもよるので一概には言えないが、ざっくりと以上のような分析が成り立つかも。よって、どんな内容のものをチェックしてもらうのか、それによって依頼するネイティブを決めるというのもいいかもしれない。たとえば、オレが英語の小説を書いたとしたら、依頼するのは教育系のネイティブがいいと思う。自分の味を出したつもりの文章表現が、チェッカーのスタイルで書き換えられてしまったりするのもヘンだしな。第一、自分の作品にならないってわけだ。

一方、企業から発信される文書などの場合は、チェッカーの経験や感覚を信頼し、違和感のある部分はどんどん変えてもらったほうがいい。商業系のチェッカーなら、最近の技術やトレンドについても、英語を教えているだけの人に比べるとよく知っているだろうと期待できる。知識があれば、誤解や勘違いなどが少なくなるので助かる。

また、「どこまで変えるか」はそのチェッカー次第であり、料金次第でもある。「変える」ということは、あたり前のことだが、新たに文章を起こすことなので手間も時間もかかるはずだ。ライティング料金を払うのなら、ネイティブも張り切ってリライトするだろうが、ネイティブチェックの料金であれば手間はかけたくないのが当然だろう。しかし、どこまで変えてくるか、これも個人によってバラつきがあるだろう。

こう言っちゃなんだが、ネイティブとて人間(あたり前か)、その日の気分とか予定も関係してくるだろう。出かける用事が控えている場合はさっさと済ますだろうし、気分的に乗らなければ「こんなもんでいいか」となるかもしれない。また、同じネイティブに同じ内容を時期を変えて依頼すると異なる結果が返ってくることもあるだろうと思われる。ま、所詮人間のやることなんで…。

以上のことをまとめると、次のようなことが言える。

 自分の味を出す内容のものは、教育系のネイティブに。
 企業関連など、洗練された表現が必要な場合は、商業系ネイティブに。
 読み物として良いものを挙げたいときは、ネイティブチェックではなく、ライティングとして依頼。
 ネイティブも人間である(その日の気分がある)。