Last update March 23, 2022

イギリス英語の発音

一般的な傾向と特徴

厳密な意味で「イギリス」というと「グレート・ブリテンおよび北アイルランド連合王国」(the United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)を指し、そのなかにはスコットランドやアイルランドも含まれます。しかし、それぞれの地域で話される英語は異なった特徴がありますので、ここでは、便宜上、「イギリス英語」というときには、ロンドンを中心とするイングランドで使われる英語という意味に定義したいと思います。

さて、イギリス英語の発音の中核となっているのが、Received Pronunciation (RP) と呼ばれる発音様式。もともとは、イギリス南東部の上流階級やオックスフォードやケンブリッジ大学で使用されていた発音をもとに定義されたもので、発音やアクセントそのものがその人の社会的ステイタスや教養を表すとされるイギリスでは、大変権威のある様式として考えられていました。BBC(英国放送協会:The British Broadcasting Corporation)でも RP が使われ、 RP で話す人は「それなりに教養がある(きちんと教育を受けた)人物である」とみなされていたのです。

近年になってからは、メディアの発達やイギリスでの社会的階級間の線引きもゆるやかになったことで、RP=エリートの発音という図式も壊れてきています。また、話し言葉は絶えず変化しつづけるもので、RP 自身も変化し、今では純粋な RP を話す人はイギリスのわずか3パーセント程度だそうです。

とはいえ、「模範的な標準イギリス発音」としての重要性を失ったわけではなく、多くの国の英語教育に採用されています。よって、ここでも RP を中心に説明を進めていきます。

イギリス英語の母音

イギリス英語の母音のイメージは以下のようになります。


 イギリス英語の二重母音
二重母音 /e(ɛ)ɪ/ /aɪ/
単語例 face price
二重母音 /ɔɪ/ /əʊ/
単語例 choice goat
二重母音 /aʊ/ /ɪə/
単語例 mouth near
二重母音 /ɛə/ /(j)ɔ(ʊə)/
単語例 square cure

●上の図には、英和辞典でも見慣れない発音記号が含まれています。それには黒い文字で括弧書きで、通常辞書などで使われている表記を記しています。
●たとえば、/ɑ//ɒ/ は、イギリスでは区別される音ですが、アメリカ英語などでは区別されません。辞書の表記も /ɑ/ のみになっています。
●また、/ɜ/ も通常は /ə/ で表記されます。