スペイン語文法ノート 数学やプログラミングの世界ではなく文法の世界の「再帰」。英語では -self を使って表現すればいいのですが、スペイン語では主語に応じて異なる再帰代名詞というものもあり、なんだかややこしそう。そんなスペイン語の再帰についてまとめてみました。




スペイン語の再帰表現


Última actualización: 17 de abril 2016


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再帰 (reflexivo) とは何か

代名動詞とは何かのところでも説明しましたが、再帰表現とは、代名動詞の持つ役割のひとつです。

たとえば「洗う」という動詞を例にとって考えてみましょう。ただ単に「洗います」と言っても何を洗うかということが問題になってきますが、洗濯物を洗う、お母さんが子供をお風呂に入れて洗ってやる、自分自身を洗う、自分の手を洗うなど、自分以外の他者(物)を洗う場合と自分自身を洗う場合があります。そのうち、「自分自身を洗う」というときの表現が再帰文です。

つまり、「洗う」という行為を行う「自分」と「洗う」目的語となる「自分」という対象が同じ場合、「再帰」となるわけです。たとえて言えば、主語(動作主)と目的語(受動主)を向かい合わせて配置してみると、まるで、鏡に反射 (reflexión) したように、「自分が自分を洗っている、自分が自分に洗われている」という状態を表します。それに対して、他者や物を洗う場合は、動作主の自分(主語)と洗う対象(目的語)が異なりますので「再帰」とは言えません。乱暴な言い方をすれば、自分で行動を起こし、その影響を被っているいわば「自作自演」を行っているということができるでしょう。

また、「再帰」のひとつの定義として、動詞の後に a sí mismo(-a) をつけても意味が通じるものだと言うこともできます。


では、再帰表現はどのように構成されるかを見てみましょう。当然のことながら、「目的語」を必要としますから、動詞は「他動詞」でなければなりません(自動詞では再帰表現は成立しません)。再帰代名詞 (me, te, se, nos, os, se) とそれぞれの他動詞の活用形を組み合わせて表現します。「洗う」 (lavar) を例にとってみましょう。

私は yo me lavo
君は te lavas
彼/彼女は él/ella se lava
私たちは nosotros nos lavamos
君たちは vosotros os lavais
彼らは ellos/ellas se lavan





La madre lava la ropa.
(母親は洗濯物を洗う。)―非再帰
La madre lava al niño.
(母親は子供を洗ってやる。)―非再帰
Las madre se lava después de lavar al niño.
(母親は子供を洗ってやった後、自分を洗う。)―再帰
El niño se viste a sí mismo.
(その子供は自分で服を着る。)―再帰


直接再帰 (reflexivo directo)

主語(行動主)と受動主(目的語)が同じものを再帰というわけですが、一致しているその目的語が「直接目的語」であるものを「直接再帰」と呼びます。これは、「洗う」という動詞を例に取ると、「私は私自身を洗う」となり、行為を及ぼす対象が自分自身そのものであることを表します。


直接再帰は次のように構成されます。

私は
私自身を
洗う
(主語) + 再帰代名詞(直接目的語) + 他動詞(活用が主語と一致)
(Yo) me lavo




Me ducho cada mañana.
(私は毎日シャワーを浴びる。)
Carmen se baña antes de comer.
(カルメンは食事の前に風呂に入る。)
¿Vas a afeitarte ahora?
(君は今からひげを剃るのか。)





間接再帰 (reflexivo indirecto)

行為の目的語が直接目的語である直接再帰に対して、間接目的語であるものを「間接再帰」と呼びます。つまり、「私は(私の)手を洗う」といった表現で、自分自身が間接目的語であり、実際に洗う対象となる直接目的語を伴います。日本語で「私の」というと所有格のように聞こえますが、もっと間接目的語らしく言うならば「私に対して」手を洗うということができるでしょう。


間接再帰は次のように構成されます。

私は
私の(私に対して)
洗う
(私の)手
(主語) + 再帰代名詞(間接目的語) + 他動詞(活用が主語と一致) + 直接目的語
(Yo) me lavo las manos

La gente se lava las manos para prevenir la gripe.
(インフルエンザ予防のため人々は手を洗う。)
Carmen se peina el pelo delante del espejo.
(カルメンは鏡の前で髪をとかす。)
¿Vas a afeitarte la barba ahora?
(君は今からひげを剃るのか。)





再帰表現をする動詞

「自分を洗う」、「自分の~を洗う」など、lavar 「洗う」という動作を中心に再帰表現について見てきましたが、どんな動詞でも再帰表現ができるというわけではありません。「洗う」の他にも、「着る」や「入浴する」など、衣服や身体に関する動詞がよく再帰表現に使われます。

また、そのような動詞を「再帰動詞 (verbo reflexivo)」と呼ぶこともありますが、厳密には、こういった名称の動詞が文法のカテゴリーとして存在するのではなく、一部の代名動詞を使って再帰表現が可能であるという理解したほうが適切だと思われます。

afeitarse ひげを剃る
bañarse 入浴する
ducharse シャワーを浴びる
peinarse 髪をとかす
ponerse 身につける
vestirse 服を着る
*levantarse 起き上がる
*sentarse 座る

また、最後の levantarse と sentarse (この他にもあります)ですが、文法書などでは「再帰動詞」として紹介されている場合がよくあります。「自分自身を起こす起きる」、「自分自身を座らせる座る」という考え方から「再帰」であるという理屈ですが、これは、厳密には、「再帰表現」ではなく、他動詞を自動詞化した用法だと考えるべきだという意見もあります。

スペイン人の発想では、「自分自身を起こす」とか「座らせる」ということはできないという考え方があるようです。幽体離脱でもしない限り、自分が自分を立ち上がらせたり、動かしたりするのは物理的に不可能だということなのかもしれません。

しかしながら、スペイン語で書かれた外国人向けの教材などでも「再帰動詞」として扱っている事例が多く見られます。これには、教える内容を簡単にしたいという意図もあるのかもしれませんが、こういった傾向に対しての反論もあるようです。

いずれにしろ、こういった「分類」に対してあまり神経質になる必要はありませんが、専門的な見解としては、内的再帰 (reflexivo interno) や擬似再帰 (cuasi-reflexivo) などといった名称によって lavarse などの再帰表現とは区別する傾向もあるようです。