スペイン語文法ノート 数学やプログラミングの世界ではなく文法の世界の「再帰」。英語では -self を使って表現すればいいのですが、スペイン語では主語に応じて異なる再帰代名詞というものもあり、なんだかややこしそう。そんなスペイン語の再帰についてまとめてみました。




スペイン語の再帰代名詞


Última actualización: 14 de abril 2016


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再帰代名詞 (pronombre reflexivo)

スペイン語の再帰代名詞とは、英語の myself, yourself... にあたる「~自身」を表す代名詞です。英語では単純に ...self をつければいいのですが、スペイン語では以下のような無強勢 (átono) の形と動詞の活用を組み合わせて表現します。再帰表現について、詳しくはスペイン語の再帰表現を参照してください。

主格人称代名詞 再帰代名詞
(無強勢)
用例 (levantarse) 意味 再帰代名詞
(強勢)
yo me me levanto 私は起き上がる mí, conmigo
te te levantas 君は起き上がる tí, contigo
él/ella se se levanta 彼/彼女は起き上がる sí, consigo
nosotros nos nos levantamos 私たちは起き上がる nosotros
vosotros os os levantáis 君たちは起き上がる nosotros
ellos/ellas se se levantan 彼ら/彼女らは起き上がる sí, consigo

強勢のある (tónico) 再帰代名詞は、前置詞を使って「~自身」を強調したり、紛らわしい文脈において「~自身」の意味を明確にすることができます。

El niño se lava.
(その子供は自分の身体を洗う。)
El niño se lava a sí mismo.
(その子供は自分で自分の身体を洗う。)―強調
Ella se hablaba consigo misma.
(彼女は自分自身と話をしていた―独り言を言っていた。)―意味の明確化





相互代名詞 (pronombre recíproco)

再帰代名詞は、複数人称において「お互いに~する」という場合の相互代名詞としても使われます。また、再帰と同じように、nos mismos, sí mismos などを使って強調を表すこともできます。

私たちはお互いにnos
君たちはお互いにos
彼らはお互いにse

Carmen y yo nos hablábamos.
(カルメンと私は互いに話し合った。)
Tú y Juan os regalais a vosotros mismos.
(君とホアンはお互い物を贈り合っている。)―強調
Ellos se respetan a sí mismos.
(彼らはお互いに尊敬し合っている。)―意味の明確化





代名動詞 (verbo pronominal) と再帰代名詞

上の表の用例のように、再帰代名詞と動詞を組み合わせた動詞を代名動詞と呼び、再帰表現や自動詞的な意味を表します。代名動詞の原形は、動詞の原形(上の例では levantar「起こす」)の語尾に三人称の再帰代名詞 se をつけたもので表記します。

代名動詞には、arrepentirse 「後悔する」や atraverse 「思い切って~する」など、必ず再帰代名詞と組み合わせてしなければならないものや、levantarse, sentarse のように再帰代名詞をつけることで自動詞の意味を出したり、あるいは、ニュアンスなどを変えることができるものなどいくつかのタイプに分類することができます。

このように、再帰代名詞と動詞を組み合わせた用例のうち、再帰的受身や無人称の se といった受身表現を除いたものを中間態と呼ぶことがあります。また、「代名動詞」という呼び方は、me levanto, te levantas など、それぞれの人称における活用を含めるため、受身表現を除いた「再帰代名詞+動詞」の形を指して使われるのが一般的です。





再帰代名詞の役割

再帰代名詞を使うことで、自分自身や自動詞的な意味を出すことができるということを述べましたが、三人称の再帰代名詞である se を使った受身的な用法もあり、非常にわかりずらくなってきます。

そこで、まず、再帰代名詞の用法の傾向を大きく捉えておくことで、理解がしやすくなります。


図のように、三人称の se のみを使った用例と、一人称~三人称(単数・複数を含む)のすべての人称を使う用例の2つの流れに分類することができます。このうち、再帰的受身と無人称表現の用例では、三人称 se のみしか使われません。それに対して、すべての人称を使った用例では、再帰表現をはじめ、自動詞的な意味合い、強調、ニュアンスの違いなどを表す用例が含まれます。この用例については、スペイン語の中間態で説明しています。




それぞれの用例について、再帰代名詞がどのような役割を持っているのかという特徴をまとめてみると、次のようになります。

三人称の se のみを使った用例 すべての人称を使った用例
 行動主から視点をそらす。
  →行動主は主語ではない。
 行動主を言及しない(不明、あいまいにする)。
  →se は言及しない行動主の心理的な代用。
 能動性を弱め、受身化・無人称化する。
 行動主自身に動作が影響する。
  →再帰表現
 他動詞から自動詞的な意味への変化。
 内面的な性質などを表現する。
 能動性が弱まり、静態化する。
 動作の強調、影響度の高さが出る。
 意味やニュアンスの違いが出る。

動詞の最もアクティブな形は能動態であり、目的語を伴い、その目的語に対して動作の影響を与える他動詞だと考えることができます。ところが、再帰代名詞が加わることで、「再帰」→自分へ戻るということから、動詞のアクションの方向性も外から内側へ向きます。動詞の意味も内面的になることから能動性が弱まり、自動詞に近いものになっていきます。能動態の主語である行動主から視点がそれて、主語が不明・あいまいな存在や受動主に移行します。

言いかえれば、能動態からいわゆる中間態というものに移行し、能動態でもなく受動態でもない、微妙なニュアンスを持たせるような傾向が出てきます。さらに、能動性を弱めていくと受動態になります。また、三人称の se は、行動主を言及しない再帰的受身を構成するため、行動主の不在人の不在無人称表現というふうに、無人称化の方向へと進むわけです。

こういった流れを頭に置いておくことで、三人称の再帰代名詞である se の用法についても理解しやすいのではないかと思われます。