Last update August 27, 2019

コラム:英語学習について考える

接頭辞・接尾辞で単語力を鍛える (1)



漢字の話

お寿司屋さんではお茶のことを「あがり」と言いますが、その「あがり」が入っている湯呑みにいろんな魚偏の漢字が書いてあるのを見たことがあります。鯖(さば)、鯛(たい)、鰯(いわし)など… あなたはいくつ読めますか?

たとえば、身体が青い魚ということで「魚」+「青」で鯖。日本周辺の海ならたいてい捕れるということで「魚」+「周」で鯛。うろこがはげやすく弱いから「魚」+「弱」で鰯など、偏と旁(つくり)でちゃんと意味をなしているというわけです。魚の漢字についてもっと知りたいという方は、あるお寿司屋さんのサイト(下記 URL)にわかりやすく説明されています。

https://e-miraku.com/chotto_002.html

あまり魚の話ばかりしていてもしかたないのでここら辺にしておきますが、要は「漢字」についてちょっと考えてみたいというわけです。英語のサイトでなんで漢字の話なんだと言われそうですが、実は漢字というのは非常に便利なんです。

日本語を学ぶ外国人にとっては、日本語は漢字、ひらがな、カタカナなんて3種類の文字があるからむずかしいということになると思いますが、英語やヨーロッパ言語はアルファベットだけ覚えればいいからラクだというのもごもっともです。

ちなみに、韓国語なども最近はハングル文字だけで表記されているようですが、以前は学校でも漢字を教えていたようです。筆者も昔経験がありますが、ある韓国のビッグ企業の人が来られたとき、こちらのハングルもあいさつ程度でしたし、相手の日本語もその程度でした。しかも英語もあまり通じないということで、筆談でコミュニケーションを取っていました。

もちろん、ハングル文字で筆談していたのではありません。漢字です。韓国の漢字の使い方は、中国語の漢字と違って、日本語と非常に良く似ています。ほとんど同じと言ってもいいくらいです。(たとえば、トイレは「便所」と書いて「ピョンソ」と発音し、もっとかしこまって言うなら「化粧室」と書いて「ファジャンシル」。違うのは「勉強」で、韓国語では「工夫」と書いて「コンブ」と読むなど。)





表意文字と表音文字

また話が逸(そ)れてしまいましたが、英語のアルファベットもハングルも表音文字です。もっともアルファベットというのは、広義では ABC だけを指すのではなく「音」しか表さない文字のことを指します。

つまり、ハングルもそうですが、日本語のひらがな、カタカナもアルファベットと言えます。「音」を表す文字ですので、その文字を読むのは発音さえわかっていれば読めます。しかし、音はわかっても読めても意味はわかりません。文字で構成される単語全体を見て初めて意味がわかるのです。これは便利なようで不便です。

たとえば日本語で「はし」とひらがなで書かれていたら「箸」なのか「橋」なのか「端」なのかわかりませんが、漢字で書いてみると一目瞭然でわかります。識別性という意味では、漢字というのは非常に便利なわけです。

前述の「魚」なども魚の姿カタチからこの漢字が生まれたと言いますが、漢字は表意文字、つまり意味を持った文字です。ですから、本などを読んでいて読めない漢字が出てきたとしても、その偏や旁から、だいたいこんな意味かなというのが推測できることがよくあると思います。表音文字とは逆に、読めないけど何となく意味がわかるということです。

ところが、英語はアルファベットで書かれた言語なので、単語をひとつひとつ覚えておかないと意味がわかりません。もちろん、文脈から類推して、こういう意味の単語だろうという推測が成り立つ場合もありますが、長い学術的な単語や新語などはちょっと違います。また、そういう新しい言葉などは辞書を引いても掲載されていない場合も多々あります。そんなときにどうするかというと、これはネイティブでもやっていることですが、接頭辞(連結形)や接尾辞(連結形)から判断するのです。





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