Last update August 27, 2019

コラム:英語学習について考える

接頭辞・接尾辞で単語力を鍛える (2)



単語の頭と語尾で判断

たとえば、dis- が最初についているから、何かを「否定」する意味だなとか、最後に -able とついているから、何かが「できる・可能」といった意味があるんだ、というふうに判断するのです。

つまり、私たちが漢字を見たときにするように、英語の単語を接頭辞、接尾辞などに分解して意味を推測するというわけです。たとえネイティブであっても、教育レベルなどによって、分解という作業がアタマの中でできない人もいるようでが、それはひとつには、それぞれの接頭辞や接尾辞の意味を知らないとできないということです。漢字で言えば、偏や旁の意味を知らないのと同じですね。

少し乱暴ですが、接頭辞は漢字の「偏」、接尾辞は「旁」と考えることができます。実例をあげてみると、もうすっかりおなじみになりましたが、nanotechnology 「ナノテクノロジー」という言葉がありますね。

仮に、ここでは、その単語が業界で使われはじめたころを想定して、その意味をまだ知らないとしましょう。長い単語だし、見ただけでイヤになったりしますが、よく見てみると、technology は「技術」だとわかりますね。たとえわからなくても、最後の -logy は「~学・~論」といった意味の接尾辞、techno- は「技術」を意味する接頭辞だという知識があれば、「何か技術をまとめたもの」だなという推測が成り立ちます。また、nano- も「10億分の1」を意味する接頭辞だと知っていれば、文脈も手伝って、何か「小さくする技術」のようだということがわかるわけです。

もっとわかりやすい例をあげてみましょう。英語の「多角形」の言い方をまとめると次のようになります。

単語 意味
triangle 「三角形」tri-(「3」の意味)+ angle(「角度」を表す単語)
quadrangle 「四角形」quadr-(「4」の意味)+ angle(「角度」を表す単語)
pentagon 「五角形」hexa-(「5」の意味)+ -gon(「角度」の意味)
hexagon 「六角形」hexa-(「6」の意味)+ -gon(「角度」の意味)
heptagon 「七角形」hepta-(「7」の意味)+ -gon(「角度」の意味)
octagon 「八角形」octa-(「7」の意味)+ -gon(「角度」の意味)
polygon 「多角形」poly-(「多い」の意味)+ -gon(「角度」の意味)





モジュール的英単語の覚え方

英語は、漢字の偏や旁とは違って、アルファベットの固まりですから、漢字のように一目で認識するのはむずかしいかもしれません。しかし、それも訓練です。認識というのも脳の働きのなせる技以外の何ものでもありませんから、techno--logy などというふうに「固まり」で覚えてしまえばいいのです。そうすれば、未知の単語にぶち当たったときに、知っている「固まり」が向こうから飛び込んできます。こういったモジュール的な覚え方をしていると、「テクノロジーのスペルってどうだっけ?」などとスペルに迷うこともありません。モジュールユニットに分解してみると、長い単語も覚えやすいわけです。

ここでも、いくつか例をあげてみると…

octopus octo-(「8」)+ -pus(「足を持つ生き物」)→「8つの足を持つ生き物」→「タコ」
centipede centi-(「100」)+ -pede(「足」)→「100本の足」→「百足(ムカデ)」
photograph photo-(「光の」)+ -graph(「記述」)→「光で記述」→「写真」
dinosaur dino-(「恐ろしい」)+ -saur-saurus「トカゲ」)→「恐ろしいトカゲ」→「恐竜」
rhinoceros rhino-(「鼻」)+ -ceros-cerus「角を持つ者」)→「鼻に角を持つ者」→「サイ」

「なるほど!」とうなずけるものがありますね。ジグゾーパズルでもやる感覚で、接頭辞、接尾辞に分解したり、くっつけたりして楽しんでみるのも単語力を鍛えるひとつの方法かもしれません。

※単語の前につく文字は、専門的には、単語の意味を変化させる働きをする「接頭辞」と、組み合わせることで新しい単語を作るための「連結形」があり、同様に、単語の語尾につく文字にも「接尾辞」と「連結形」があるのですが、ここでは、便宜上、単語の前につくものをすべて「接頭辞」、語尾につくものを「接尾辞」と表現しています。





 前ページへ