Last update August 25, 2019

コラム:英語学習について考える

フジヤマ、ゲイシャ、ジャパニーズ・イングリッシュ (1)



ニッポンって何?

フジヤマ、ゲイシャ――かって日本を形容した諸外国からみたイメージ。日本は中国大陸の一部と思われていたり、日本の総理大臣の名前も知られていない一方で、スシ、スモウ、カラオケ、ネマワシ、ホンネ、タテマエ、ダンゴウ、ホンダ、ソニー… などなど、こういう言葉はよく知られている。そんな不思議の国ニッポン。そしてあなたはそんな国の日本人。

外国で亡命したい人や困っている人が真っ先に訪れるのはアメリカ大使館で、日本大使館ではない。アメリカは自由で、開かれた国だというイメージがあるのに対して、日本は困った人には手を差し伸べない冷たい国。なんかヘンな国ニッポン。経済力も落ちてきた日本は、アジアの小国となって、そのうち「あ、そんな国あったっけ?」みたいなところに落ちつくのではないかと危惧してしまう。

三十年前のフジヤマ、ゲイシャといった言葉がスシやソニーに変わり、アニメやニンテンドーに変わり、また新しい言葉に置き換わっていくだけで表現されてしまう日本。経済力も衰えた日本ではもはやそんなキーワードも存在しないかもしれない。

グローバル・スタンダードと言えば、アメリカやヨーロッパの基準のことで、「正義」と言えば、これまたアメリカやヨーロッパの「十字軍」的な発想のことだったりする。ほんとにこれで正しいのか?もちろんテロ行為は許せない。しかし、これだけ異なる国や文化が存在する世界において、アメリカの正義だけが正義なのか?アメリカの正義も正義に違いないが、他の文化圏にもそれなりの正義があるのでは?異質の文化や異なる考え方を理解し合うことで、もっと調和が生まれ、平和の土壌も徐々に築かれていくのではないのか?





語りのすすめ

とまあ、いきなり大上段に構えた国家論みたいになってしまいましたが、要は、もっと主張してもいいんじゃない?ニッポン、と思うのです。それも、まだ世界の中でリーダーの仲間であるうちに、キリスト教文化に基づいた西洋の考え方とは違った考え方もあるんだ、ということをもっと語ってもいいんじゃないか?と切に思うのです。

誰が言ったか「沈黙は金」。そりゃ「金」かもしれないけど、金ばっかりでもどうかと思いませんか?銀も欲しいし、ダイヤモンドやサファイアもあったらいいじゃないですか。「あ・うん」の呼吸、「それくらい察してくれよ、勘のニブイ奴だな、言わなきゃわからないのか?」だから、無理ですって。言わないとわからないものはわからないのです。

日本の島国の時代はとっくに終りました。単一民族だからヤボな説明が無くても分かり合える――ほんとですか?そんなことが通用しない人たち、いっぱいいると思いますよ。ひょっとしたら、自分だってそんなひとりかもしれない。陰で「アイツはいちいち言わないとわからんヤツだ」とか言われてるかもしれませんよー。

というようなことで、日本人よ、もっと日本を語ろう!しかし、日本を語るには日本語ではほんの一部の人にしか理解してもらえない。だから、日本語よりカンタンな英語でやりましょう!――というわけです。

英語で語る意義

日本人なら日本語しゃべったらいいじゃないか?日本に来ている外国人も日本語話したらいいじゃないか?英語は敵国の言葉だ!などと今だにおっしゃる方もおられるようです。確かに筋は通っています(「敵国」は別として)。が、こういった英語のコーナー自体も意味がなくなってくるから言うわけではありませんが、もっと認識しなければならないのは、英語はもはやアメリカ人やヨーロッパ人、オーストラリア人(その他英語母国語人)だけの言語ではない!ということです。

もちろん英語が使われるようになった歴史的な背景はありますが、現状、世界でも英語が最も一般的な言語になっているわけですし、他の言語と比較してもまだまだ習得がしやすい、と思うのです。この点、日本人もアメリカ人やイギリス人も理解すべきだと思いますし、また、こちらも主張すべきだと思うのです。

実際、日本社会に根付いて生きていこうとしている外国人は日本語を習得していますし、アメリカやイギリスの人たちが、自分たちが優れているから自分たちの言語が話されているのだ、と思っているとしたら、これは大きな勘違いでしょう。英語は、もはや彼らだけのものではないのです。シンガポールに行けば、OK-la! などと語尾に「ラ」をつけたりして特色のあるシンガポール英語があります。日本でも、いっそのこと、語尾に「ね」なんかをつけてGood-ne! なんていうジャパニーズ英語を作ってしまえば、もっと英語が身近になるかもしれません。実際、日本に住んでいる英語圏の人たちがやっていることがあります。





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