経済力にもカゲリが見えてきたニッポン。そんな日本が国際社会をリードするには堂々と意見を主張できる英語力。軽いノリの日常会話ではなく、系統立てて意見を述べるには、そのベースとなる文章力が必要です。ここでは「冠詞」のとらえ方について考えてみましょう。



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Last update June 30, 2019 (Originally posted in 2001)

冠詞のとらえかた・考え方 (1)

では、さっそく、始めてみましょうね。今日は、実は、ManualCheckerGirl という方からこんなご質問をいただいていますよ。ありがたいことですねえ。こうして、ご質問をいただくことで、私のほうも随分とお勉強になりますからねえ。さっそく、本題に入りましょうか。では、ご質問内容、紹介してみましょう。

オヤジさま

さっそく質問させていただきます。私は今、英文マニュアルのチェックをしています。でも、なかなか理解できないのが、冠詞なんです。「画面が表示される」という内容の文章がいくつかあるんですが、同じような文章なのに、不定冠詞を使っているものと定冠詞を使っているものがあるんですよ。ネイティブの方にもお聞きしたんですが、どうも納得できる答えがもらえなくて困ってます。できれば、どちらかに表現を統一すればすっきりすると思うんですが ニュアンスなど、どう違うのか教えてください。下に例文を上げておきますのでよろしくお願いしまーす。

ManualCheckerGirl

The screen for setting the density level will appear.
A confirmation screen will appear.

ということですね。う~ん、これはどうでしょうね。ネイティブさんにも相談された… ということですが、私が思うのにはですね、ネイティブの方にはやはりわからないと思うんですよぉ。いえいえ、冠詞がわからないということではなくて、日本人が冠詞についてわからない、ということがわからないということですね。ネイティブの皆さんはもともと英語が母国語ですからね、つまり母なるランゲージなわけですよ。小さい頃から自然と身についたものですからね、冠詞というものが無い日本語を話している日本人が、どこがどうわからないか、深く理解できないと思いますよ。当然のことですがねえ。そこに行くと、この私なんかは日本人ですからね、よぉく解るんですよ。私も冠詞というのは苦労しましたからねえ。いや、今でも苦労することがありますよ。

ついでに言ってしまいますとね、(ここだけの話ですよ)どうも日本で使われている英文法の本なんかは、もともと英語圏の人が、英語圏の人のために、英語で書かれた本をそのまま日本語に翻訳しちゃったんじゃないかと思うんですよ。つまり、英語圏の英語圏による英語圏のための本を日本人が読んで理解できるでしょうか、ということなんですよ。こんなこと言うと、専門家の方に怒られちゃうかもしれませんけど。ね、皆さん、これどう思われますか?たとえばね、国語の名前には定冠詞を使うとか使わないとか、湖には云々とか、橋には云々とか、私たちが学校で習った英文法の本に出てくるようなことが書かれていますよ。あれはねえ、もともと冠詞という考え方や概念が感覚的に身に付いていらっしゃるネイティブの方のためのものだったら、ああいった場合分けのような説明の仕方で通用すると思うんですけどねえ。





ズバリ、私はですね、冠詞というものは「修飾詞」と考えているんですよ。修飾詞と言ってもね、飾り立てることじゃあないんですよ。女性がお化粧をしたり、お洒落するのとは違うんですよ。女性のお洒落は、好みの問題でね、なかには、そこまでしなくても、と思う人もありますが、この「修飾語」というのは… え?なんですか?ああ、そうですね、こう言う事を言うと「セクハラ」になるんですよね。すいません、すいません。それで、この修飾詞というのは決して「飾り」ではない。これを英語で言うと modifier と言いましてね、辞書を引きますと、「ある言葉を詳しく描写したり、意味を限定したりするもの」という具合に書かれていますね。だから、修飾詞ってのは、ほんとはとっても大事な役割をしているということですね。冠詞というものは修飾詞である。ということは、ある言葉を説明したり、意味を限定するという働きがある、つまり、立派な情報を持った「ことば」ということなんですよ。

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