Last update March 23, 2022

イギリス英語の発音

基本的な特徴

音節語尾の母音の後の「r」は発音しない (non-rhotic)
まず、アメリカ英語の発音が音節の末尾に来る母音の後の「r」のスペルを発音する rhotic であるのに対して、イギリス英語では、そういった「r」のスペルは基本的には発音しないという non-rhotic (ノン・ロウティック) の発音になります。よって、fatherfarthercaughtcourtformallyformerly などが同音となります。また、この「r」のスペルを発音しないということから、linking R (つなぎの R)」intrusive R (侵入の R)」といった現象が起こります。

明るい /l/ と暗い /l/ の使い分け
他の英語圏とは異なり、イギリス英語では、明るい /l/ と暗い /l/ を使い分けています。これら2種類の発音については、明るい /l/ と暗い /l/ (Light /l/ and dark /l/) をご覧ください。

/j/ の脱落
イギリス英語においても /j/ の脱落 (Yod-dropping) がみられますが、アメリカ英語のように広範囲には及ばず、/s/ および /l/ の後のみです。したがって、newduke が「ヌー」や「ドゥーク」になることはありませんが、pursuitevolution では /j/ を発音する話者もいますが、 /j/ が脱落して「パスート」、「イヴォルーション」と発音する話者もみられます。ちなみに、suit という単語では「スート」が一般的で「シュート」と発音する傾向はほとんどみられません。

/t/ の声門破裂音化
アメリカ英語同様、/t/ の声門破裂音化 (T-glottalization) という特徴がイギリス英語でもみられ、department のように子音の前にくる /t/ の発音が影響を受けるのが一般的ですが、最近の若い世代では、pick it upwhat など、母音の前や語尾の /t/ にもこの傾向がみられます。

長母音の特徴
アメリカ英語に比べて短母音と長母音(「英語の発音」のコーナー)( /iː/  など)の長さが明瞭です。長く伸ばすというよりは、むしろ、 /ɪi/  のように二重母音的に発音される傾向があります。

この長さの区別はあくまでも相対的なもので、その前後の発音にも影響されるため、長母音であっても、/p//t/ などの強い張り詰めた音(fortis)の後に来る場合は短くなる傾向があり、逆に短母音であっても、/b//d/ などのゆったりした弱い音(lenis)の後に来る場合は長くなる傾向があります。

二重母音の特徴
アメリカ英語では /oʊ/  と発音される二重母音が、イギリスでは /əʊ/  のように発音されます。
例)boatcoat

単語 イギリス英語 アメリカ英語
boat /bəʊt/ /boʊt/
coat /kəʊt/ /koʊt/