Last update March 22, 2022
アイルランド英語とは?
アイルランドはグレート・ブリテン島の西隣に位置する島で、「グレート・ブリテンおよび北アイルランド連合王国」(the United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)のメンバーである北アイルランド(Northern Ireland)と、そうではない南のアイルランド共和国(Republic of Ireland)から構成されます。この二つのアイルランドではともに英語が話されますが、その歴史的背景から、多少の影響はあるものの、基本的には別々の発展を遂げてきました。北アイルランドの英語はスコットランド英語の影響が強く、アイルランド共和国の英語よりもむしろスコットランド英語に近いとも言われています。
アイルランド英語の直接のルーツは、16世紀から17世紀にかけて行われた英国による植民がきっかけです。それ以前の12世紀頃にも古英語との接触がありましたが、一部の地域のみで話されていただけで、その後アイルランド語(ゲール語)が優勢になっていきます。同じく16世紀以前に古英語との接触があったスコットランドでは、それがスコットランド語として発展したのに対して、アイルランドでは独立した言語として残存せず、16世紀以降に「リバイバル」した英語に語彙などの影響を与えるかたちで残っています。また、語彙や文法など、アイルランド語の影響も色濃く反映されています。
さて、スコットランド英語同様、ちょっとクセのあるアイルランド英語ですが、そのひとつはやはり「訛(なま)っている」アクセントです。ちなみに、アイルランド英語っぽく話すためのポイントは「口先」で話すことだとか。また、母音を弱く発音し子音を強調すると同時に「r」の音もすべてしっかり発音。ですから、How are you? なんかも「ハ・ウェア・ヤ?」となり、語尾の「g」は惜しげもなくカットするので、talking や morning も「トーキン」、「モーニン」となります。「th」の発音も他の英語圏のように「舌先と歯を摩擦させて…」といったややこしいことをしなくてもOK、すべてタ行とダ行の音で解決です。つまり、think や this はそれぞれ「ティンク」、「ディス」、thank も tank も「タンク」、than も Dan も「ダン」となり、区別できなくなりそうですが、とにかくカンタンなのがうれしいですね。母音も訛って「アイ」の発音が「オイ」のように聞こえることもあり、「アイルランド」は「オイルランド」で、「え?石油産出国だっけ?」なんてことに…。(実際の発音については、アイルランド英語の発音をご覧ください。)
発音やアクセントだけでなく、アイルランド語の影響を受けた言い回しにも特徴があります。久しぶりにアイルランドの友人と会って "What's the story?" (「なんか話ある?」) と聞かれたら、「ここはひとつ日本昔話でも…」ということではなく、「最近どう?」という意味です。また、道を歩いていたら知らない人に "Do you have English?" と尋ねられた場合、「英語の辞書は持ってるが…」などと悩む必要はありません。「英語話せますか?」の意味ですので、アイルランド英語らしく "I have it with me" と答えましょう。
参考
ここはひとつアイルランド人っぽくしゃべってみたいという方は、下記のサイトをチェックしてみてください。
https://www.youtube.com/watch?v=W2PHch4IPPQ
https://www.wikihow.com/Speak-With-an-Irish-Accent
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