ウェールズ英語
ちょっとクセのある表現
文章の作り方にもウェールズ英語ならではの特徴があります。スコットランド英語やアイルランド英語の例にももれず、学校で学んだ英文法が当てはまらない場合があるので注意しましょう。以下、ウェールズ英語のユニークな表現についてまとめてみました。
「今やるよ」は「そのうちやる」の意味?
日本でもいますね、仕事などを頼んで「いつ頃できます?」と聞くと、「今やります」と言いながらなかなか上がってこないので、「まだですか?」と催促すると「今やりますから」と同じ答えが戻ってくる。何度催促しても「今やります」というわけで、一体この人の「今」は「いつ」なのかと思ったりしますが、ウェールズ英語の now も「今すぐ」ではなく「できるだけ早く」程度の意味。つまり、相手が "I'll do it now" と言っても今すぐやってくれるわけではなく、ましてや "I'll do it in a while, now" などと答えられた場合は、当分やってもらえないものと覚悟したほうがよさそうです。
「次の機会」は「再び」やってくる?
もうひとつ、ちょっとニュアンスの違う単語がこれ again。たとえば、誰かに本を借りていたので返そうと思っていたら、あいにく持ってくるのを忘れたというのはよくある話ですね。「ごめん、持ってくるの忘れたよ」と言うと、"Don't worry. I'll have it from you again" などと答えられたりするようです。で、気になるのがここでの「again」。「次の機会に」というのならわかるのですが、again って?まだ返していないのに「再び」とは?――と悩んだりするものですが、ここは単に next time の意味です。
付加疑問文もすべて isn't it? でOK!
「~ですね」という意味を付け加えて作る付加疑問文。学校で習ったのは、その文章の主語と動詞に沿って、don't you?、doesn't he?、あるいは aren't we? など付加するパーツも異なり、しかも、肯定文なら否定形、否定文なら do we?、is it? などと肯定形にしなければならないというルール。めんどうなので、つい ..., right? で代用してしまいますが、ウェールズ英語では、"Many people love dogs, isn't it?" などとすべて isn't it? で統一できる万能型付加疑問文というわけです。もっとも、最近では英語にうるさいイギリスでも、カリブあたりから借りてきた innit? というすべてに使える便利な付加疑問文が若い世代の間で流行しているのだとか。
ウェールズ人は倒置法が好き?
「疲れたよ、私は」とか「きれいだね、その花」など日本語でも話し言葉ではよく使われる倒置法。一般的な英語では "I am tired" などとその部分を強く発音することで強調しまが、ウェールズ英語では、文字通りこの常識をくつがえし "Tired, I am" や "Beautiful, the flower is" といった詩的な表現がよくみられます。これは、動詞が主語の後ではなく主語の前に来るというウェールズ語の語順に影響を受けています。
その他、いろんなクセ
その他、ウェールズ語の影響で、"Saw him going" などと文章の主語を省いたり、"How strange he is!" といった感嘆文で how の代わりに there を使う、あるいは、"Look you, the sheep are loose" など、文章の最初に look you や mind you を持ってくるといった独特の特徴がみられます。
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