スペイン語文法ノート 英語の he, his, him、she, her, her...などよりちょっとややこしそうなスペイン語の代名詞。直接目的語か間接目的語かによっても使う代名詞が異なり、しかも強勢のあるものやないものなどもあります。




スペイン語の人称代名詞


Última actualización: 14 de abril 2016


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人称代名詞 (pronombre personal) の種類

「私」、「あなた」、「彼」などの人間を表す代名詞を人称代名詞と言います。スペイン語の人称代名詞には以下のようなものがあります。表中の黒で書かれている代名詞が基本の形で、ブルーの文字で書かれているものは、地域などによるバリエーションです。詳しくはリンク先をご覧ください。

人称 日本語 主格 無強勢 有強勢
与格 対格 前置詞形
1人称単数 yo me mí, conmigo
2人称単数
vos
te ti, contigo
あなた(男性) usted le (se) lo
le
usted
あなた(女性) usted la usted
3人称単数
それ(男性名詞)
él le (se) lo
le
él
彼女
それ(女性名詞)
ella le (se)
la
la ella
それ(中性) ello le (se) lo ello
1人称複数 私たち(男性) nosotros nos nosotros
私たち(女性) nosotras nosotras
2人称複数 あなたがた(男性) ustedes les (se) los
les
ustedes
あなたがた(女性) ustedes les (se) las ustedes
君たち(男性) vosotros
ustedes
os vosotros
君たち(女性) vosotras
ustedes
vosotras
3人称複数 彼ら
それら(男性名詞)
ellos les (se) los
les
ellos
彼女ら
それら(女性名詞)
ellas les (se)
las
las ellas

また、英語などとは異なり、スペイン語の人称代名詞は、三人称に限り、人間以外の物を指す場合にも使われます。

Hay dos casas, y una de ellas es muy grande.
(家が二軒あり、それらのうち1軒はとても大きい。)― casas 「家」は女性名詞の複数形であるため ellas。





主格人称代名詞 (pronombre personal nominativo)

「私は」、「あなたは」といった文章の主語になる人称代名詞を主格人称代名詞と言います。スペイン語では、主語が1人称単数なのか複数なのかといった人称や数によって動詞の活用形が異なるため、文章の主語は必ずしも必要ではありません。ただし、以下のような場合は、きちんと主語を入れて表現します。

人称や活用形が同じであるため、文中の主語があいまいな場合
「他の誰でもなく、私が」など、主張や強調を表す場合
「彼はこうだが、私はこうだ」といった他の人間との対比を表す場合
ていねいさを強調する場合 (usted, ustedes)

以下、例をあげておきます。

Conozco a esa mujer. Es la madre de mi amigo.
([私] はその女性を知っています。[彼女] は友人のお母さんです。)―主語は不要(活用形でわかるため)
Él quiere bailar con ella, pero ella no lo quiere.
彼は彼女と踊りたがっているが、彼女はそうではない。)―主語があいまい
Es mi papá y yo hablaré con él.
(彼は私の父だから、私が彼と話そう。)―強調
eres muy amable, pero él es muy antipático.
君はとても優しいが、彼はとても感じが悪い。)―対比
¿Qué desea usted?
あなたは何かご用でしょうか?)―ていねいさ





スペイン語の2人称について

特に英語などと異なる点は、スペイン語では、フランス語などの他のラテン系の言語と同様に、2人称には親しい間柄で使う tú (vosotros) とていねいな言い方である usted (ustedes) の二種類がある点です。usted (ustedes) は略称を用いて、Vd. (Vds.) あるいは Ud. (Uds.) と表記されることもよくあります。また、人称としては2人称ですが、動詞の活用は3人称の活用と同じです。(スペイン語動詞活用表

ところで、親しい間柄=tú、ていねいな言い方=usted という図式が基本ですが、たとえば tú を使ったら失礼になるとか、相手を見下しているとか、usted は敬語のようなものかということではありません。基本的な使い方として以下のような傾向があります。

tú (vosotros) は家族、友人などの間柄で使い、usted (ustedes) は初対面の人に対して使う。
初対面であっても、子供に対してや若者同士では、tú (vosotros) を使うことが多い。
tú (vosotros) は親しみや信頼関係の表れであり、失礼や軽蔑ではない。
usted (ustedes) はよそよそしさを感じさせる部分もあり、距離感を表す(例:親が子供を叱る場合など)。

また、中南米では、tú の代わりに vos を使う傾向が強く、tú の複数形の vosotros は使われません。詳しくは、2人称代名詞 vos を参照ください。


強勢・無強勢の人称代名詞

主語となる代名詞以外に、英語の me, him, her, them などに該当する目的語として使われる人称代名詞がありますが、スペイン語では、強勢のある代名詞 (pronombre átono) と無強勢の代名詞 (pronombre tónico) の二種類があり、それぞれ使い分けをします。

強勢のある代名詞とは、前置詞をつけて使う場合の代名詞のことを言います。英語で言えば、give me のときの me に無強勢の代名詞 (me) を使い、said to me というときの to me が強勢のある代名詞 (a mí) となるわけです。また、come with me のように「~といっしょに」という意味の with に該当する前置詞 con の場合は、「私と」、「君と」という場合のみ conmigo, contigo を使います。詳しくは、後述の前置詞形の人称代名詞を参照ください。

無強勢の代名詞としては、与格および対格人称代名詞があり、それぞれ※間接目的語 (objeto indirecto) や直接目的語 (objeto directo) として使われ、独立した形で動詞の前に置かれたり、あるいは、動詞の接辞 (clítico) として語尾につく形を取ります。

強勢・無強勢の人称代名詞は、それぞれ「強い代名詞」、「弱い代名詞」などと呼ばれることもあります。

※スペイン語では、間接目的語および直接目的語のことをそれぞれ間接補語 (complemento indirecto) 、直接補語 (complemento directo)とも呼びます。


対格人称代名詞

「私を」、「彼を」といった動詞の直接目的語となる人称代名詞を対格 (acusativo) 人称代名詞と言います。上の表にあるように、対格人称代名詞には、次のようなものがあります。また、3人称の対格代名詞 lo, la, los, las は人間だけでなく、事物に対しても使われます。
me (私を)
te (君を)
lo (彼を/あなた―男性を/男性名詞である単数の事物/それ―中性名詞)
la (彼女を/あなた―女性を/女性名詞である単数の事物)
nos (私たちを)
os (君たちを)
los (彼らを/あなたがた―男性を/男性名詞である複数の事物)
las (彼女らを/あなたがた―女性を/女性名詞である複数の事物)

もちろん、これらの代名詞は文章のどこにでも入れればいいというのではなく、以下のようなルールがあります。

動詞の前に置いて使う
不定詞(動詞の原形)と現在分詞、肯定命令文の場合は動詞の語尾につける
目的語が3人称の場合、前置詞 a と名詞(前置詞形の代名詞)を補いあいまいさを回避する

María y Carmen nos han recogido en el aeropuerto.
(マリアとカルメンが我々を空港で出迎えてくれた。)
Compré carne de vaca y la puse en la bolsa.
(牛肉を買ってそれを袋に入れた。)―物に対して
Mírame.
私を見て。)―肯定命令文
Es tan terca que no sé si puedo persuadirla.
(彼女は頑固だから、彼女を説得できるかわからない。)―動詞の原形
Ya estaba haciendolo antes de la cena.
(夕食前にすでにそれをやろうとしていた。)―現在分詞
Aún no ha venido ni una sola persona. La esperaré a María aquí.
(まだ誰一人来ていない。ここで彼女マリアを待つことにする。)―あいまいさの回避





与格人称代名詞

「彼に本を送る」、「私にそれを言う」というようなときの「彼に」、「私に」といった間接目的語となる人称代名詞を与格 (dativo) 人称代名詞と言います。上の表にあるように、与格人称代名詞には次のようなものがあります。3人称の与格代名詞 le, les は人間だけでなく、事物に対しても使われます。

また、なかでもまぎらわしいのが、対格代名詞とともに用いられ、どちらも三人称の場合、le, les ではなく、se が用いられるというルールがあります。

me (私に)
te (君に)
le (se) (彼に/あなた―男性に/男性名詞である単数の事物/それ―中性名詞)
le (se) (彼女に/あなた―女性に/女性名詞である単数の事物)
nos (私たちに)
os (君たちに)
les (se) (彼らに/あなたがた―男性に/男性名詞である複数の事物)
les (se) (彼女らに/あなたがた―女性に/女性名詞である複数の事物)

与格人称代名詞の使用法としてのルールをまとめると、以下のようになります。

動詞の前に置いて使う
対格・与格代名詞が両方使われる場合は、(1) 与格、(2) 対格の順番になる
対格・与格代名詞が両方使われ、どちらも3人称の場合、se を使う
不定詞(動詞の原形)と現在分詞、肯定命令文の場合は動詞の語尾につける
目的語が3人称の場合、前置詞 a と名詞(前置詞形の代名詞)を補いあいまいさを回避する

Te invito un café.
君にコーヒーを一杯おごるよ。)
Le añadió un poco de aceite.
それにサラダオイルを少し加えた。)―物に対して
Me lo envió mi aimgo ayer.
(友人がそれを私に送ってくれた。)―順番は与格→対格
¿Se lo dijiste ya?
(君はそれをもう彼に言ったのか?)―どちらも3人称の場合は与格は se
melo, por favor.
それを私にください。)―肯定命令文
Es tan timido que no puede decirselo.
(彼は臆病なので、それを彼に言うことができない。)―動詞の原形
Estaba dandoselo como regalo.
それを彼に贈ろうとしていた。)―現在分詞
Es muy buena, y se la presentaré a mi jefe.
(彼女はとてもよくできるので、彼女を彼に上司に紹介しよう。)―あいまいさの回避





強調・感情移入の与格

上の項で、「彼に本を贈った」などの「~に」という用例について説明しましたが、具体的な物や動作を「与える」という意味の与格をさらに発展させ、相手に「感情的な影響」などを「与える」という使い方があります。与格の代名詞がなくても意味的には変わらないのですが、代名詞を使うことでそのニュアンスが微妙に異なります。

たとえば、長年連れ添った妻に「死なれてしまった」というと、ただ単に「死んだ」というよりその事実が遺族となった夫に大きな「被害」を与えているといったニュアンスが表現できます。あるいは、子供が「何も食べない」というより「何も食べてくれない」というと、その事実が母親に対して「困っている、心配でたまらない」といった心理的被害を与えているという心情を表現することができます。この用法は、代名動詞再帰代名詞)を使った中間態の強調表現(例文下線)と組み合わせて使われることもあります。

¡No me seas tonto!
(バカなことを言わないでちょうだい。―「私は情けない、困る」など)
El bebé no me toma nada.
(赤ちゃんが何も食べてくれない。―「親(面倒を見ている者)として困る」など)
Cuando era muy pequeño, se le murió su padre.
(彼の幼い頃、父親が死んでしまった。―「不幸を経験した、苦労した」など)
Ten cuidado, no te me vayas a caer.
(気をつけて、落ちないでよ。―「私は困る、心配だ」など)

「~してしまった」、「~してくれない」など日本語ではある程度表現できる「強調・感情移入」のニュアンスですが、英語などでは he died on me, don't do this to me などその用法には柔軟性がなく、スペイン語の表現の豊かさが感じられます。このような与格代名詞は、専門的に倫理的与格 (dativo ético) あるいは余剰与格 (dativo superfluo) などと呼ばれます。


前置詞形の人称代名詞

前置詞格人称代名詞と呼ばれることもありますが、英語の for me, to me, from me などの me に相当するようなものを言い、前置詞の後に人称代名詞が来る場合は、この形を使います。

Este regalo es para , no para .
(このプレゼントは私あてで、ではない。)
Ellos están listos para luchar contra nosotros.
(彼らは我々に対して戦う準備ができている。)

とはいえ、どんな前置詞にもこの人称代名詞を持ってくればいいというのではなく、次のような例外があります。

con 「~といっしょに」の場合、1人称・2人称の単数は conmigo、contigo を使う
entre 「~の間」の場合、主格を用いる
de 「~の」で所有を表す場合、1人称・2人称の単数は mi、tu を使う

Carmen fue al cine con él, aunque dijo que iba conmigo.
(カルメンは私といっしょに行くと言っていたが、彼をいっしょに映画に行った。)
Es solamente entre y yo.
だけの秘密だ。)
Su casa está entre mi casa y la de él.
(彼女の家はの家と彼の家との間にある。)
Juan es tu novio y no el de ella.
(ホアンは君の彼で、彼女の彼ではない。)