スペイン語文法ノート 英語なら a、an、the しかない冠詞もスペイン語では全部で9種類。男性名詞、女性名詞、単数、複数と、それぞれ冠詞が異なります。ここでは、冠詞が省略される場合の用法について見てみましょう。




スペイン語無冠詞の用法

Última actualización: 16 de septiembre 2018


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無冠詞の用法

「スペイン語無冠詞について」で、無冠詞の考え方や傾向について説明しましたが、ここでは、実際に、具体的な無冠詞の用法について見てみましょう。ブルーのマーカーは「そこに冠詞がない」ことを表しています。

  職業、身分、国籍を表す名詞
ser, parecer, resultar, considerarse, creerse, hacerse, sentirse, volverse のような繋辞けいじ動詞(主語と述語をつなぐ動詞)の主格補語として、職業、身分、国籍などを表す名詞が修飾語なしで用いられる場合は無冠詞となります。
 Es _ profesor. (彼は教授だ。)
 María es _ española. (マリアはスペイン人です。)
 Ellos son _ católicos. (私はカトリックです。)

不定冠詞がつく場合
たとえば、下記のような意味になる場合は不定冠詞がつきます。
 Es un profesor exigente. (彼は厳格な教授だ。)
 María es una española muy guapa. (マリアは美しいスペイン人です。)

  同格の名詞句
名詞の後に、同格として挿入された名詞は無冠詞になります。
 Madrid, _ capital de España (スペインの首都マドリッド)
 el vestíbulo o _ entrada de la casa (玄関、つまり家の入口)

不定冠詞がつく場合
ただし、次のように名詞が修飾されると不定冠詞がつきます。
 Mi amigo, un médico célebre... (有名な医者である私の友人)

  その名詞の有無や存在のみを問題にする場合
tener や haber などの動詞とともに使われ、修飾語を伴わない場合は無冠詞になります。また、問題とする名詞が脈絡上、1つ以外にあり得ない場合なども冠詞はつけません。
 No tiene _ coche. (彼は車を持っていない。)
 No tenemos _ hijos. (私たちには子供はいません。)
 ¿Tienes _ tiempo? (時間ある?)
 ¿Hay _ médico aquí? (ここに医者はいますか?)
 ¿Tengo _ fiebre? (私は熱がありますか?)
 ¿Tiene usted _ dinero? (あなたはお金を持っていますか?)
 No tengo _ reloj. (私は時計を持っていない。)
 Estoy seguro de que tiene _ mujer. (彼には奥さんがいるのは確かだ。)
 Hoy lleva _ sombrero. (彼は今日は帽子をかぶっている。)

不定冠詞がつく場合
不定冠詞をつけると否定の強調の意味になります。
 En la calle no se ve ni una persona. (通りには人っ子ひとりいない。)
 No tiene un coche sino tres. (彼は1台どころか3台も車を持っている。)

  主語以外の普通名詞の複数形
動詞の目的語や主格補語である普通名詞の複数形は、意味の限定がない場合には一般に無冠詞になります。
 Quiero _ naranjas. (オレンジを買いたい。)
 Estos son _ perros. (これらは犬だ。)

  本の題名やことわざ
本の題名やことわざは一般的に無冠詞です。
 _ Guerra y _ Paz (「戦争と平和」)
 _ Sangre y _ Arena (「地と砂」)
 _ Poderoso caballero es _ don dinero. (地獄の沙汰も金次第。)
 _ Agua pasada no mueve _ molino. (流れ去った水は水車を回さない。)
 Más vale _ pájaro en mano que _ buitre volando. (手中の小鳥は空中の鷹より勝る。)

  主語以外の物質名詞
動詞の目的語などで、意味の限定がない(修飾語がつかない)場合は無冠詞になります。
 Quiero tomar _ café. (コーヒーが飲みたい。)
 Dame _ agua. (水をくれ。)
 Bebimos _ vino. (私たちはワインを飲んだ。)
 Hemos comido _ pescado. (私たちは魚を食べた。)
 ¿Dónde se compra _ leche? (牛乳はどこで買えますか?)
 Póngame _ gasolina. (ガソリンを入れてください。)
 Tengo _ miedo. (私は怖い。)

不定冠詞がつく場合
不定冠詞がつくと以下のような意味合いが出てきます。
 Nos dieron un buen vino. (私たちはよいワインをもらった。)
 Tiene una voluntad de hierro. (彼は鉄のような意志を持っている。)
 He comido un pescado. (私は魚を丸ごと一匹食べた。)

  <前置詞+名詞>で材料、手段などを表す場合
<前置詞+名詞>で材料、道具、手段、方法、原因、否定の表現をする場合、無冠詞になります。
 una chaqueta de _ lana (ウールのジャケット)
 cerrar la puerta con _ llave (ドアにカギをかける)
 ir en _ coche (車で行く)
 temblar de _ frío (寒さで震える)
 hombres sin _ trabajo (無職の男たち)
 estar de _ viaje (旅行中)
 Ella escribe mal con _ lápiz mucho mejor con _ pluma. (彼女は鉛筆で書くと下手だが、ペンではずっと上手い。)
 ¿Hay alguien sin _ libro? (本を持っていない人はいますか?)
 No se puede entrar sin _ chaqueta ni _ corbata en este hotel. (上着とネクタイがなければこのホテルには入れない。)

  その他の慣用句的な表現
その他、無冠詞になる慣用句的表現をあげておきます。
 Sirvió de _ guía. (彼女はガイドをつとめた。)
 Me tomaron por _ actor. (彼らは私を俳優と間違えた。)
 Lo recuerdo desde _ niño. (それを子供の頃から覚えている。)
 Lo aprendí cuando _ niño. (それは子供の頃に習った。)
 Aunque _ niño, él sabe más que yo. (彼は子供だが、私よりよく知っている。)
 El nunca haría tal _ cosa. (彼は決してそんなことはしないだろう。)
 Ahora tenemos que buscar _ otro. (もう一つのほうを探さなければならない。)
 No es otra cosa sino _ excusa para llegar tarde. (遅れてくる口実以外の何ものでもない。)
 No es más que _ motivo de disturbios. (それは騒乱の動機でしかない。)
 Hizo lo mejor posible como _ médico. (医者としてベストを尽くした。)

  呼びかけや感嘆文
呼びかけや間投詞・感嘆文として用いられる名詞には冠詞がつきません。
 ¿Qué haces?, _ ¡hombre! (よう!何してるんだ?)
 ¡Ay!, _ pobre mujer. (まあ、かわいそうに!)
 ¡Qué _ edificio tan grande! (なんて大きな建物だ!)

  対句で用いる名詞
2つの言葉を並べて対照的に使う場合、そのどちらの名詞も無冠詞になります。
 Vendrá _ padre e _ hijo. (親子で来るだろう。)
 de _ Norte a _ Sur (北から南へ)
 de _ 9 a _ 5 (9時から5時)
 las relaciones de _ causa y _ efecto (因果関係)

  科目名など
科目名や習得の対象となるものには冠詞はつきません。
 Aprendemos _ biología. (私たちは生物学を学ぶ。)
 ¿Sabe escribir (hablar, leer) Ud. _ español? (スペイン語が書け/話せ/読めますか?)

  語順が動詞より後にくる主語
物質名詞や抽象名詞は、主語であっても、動詞より後にくる場合は無冠詞になる傾向があります。
 De los grifos manaba _ agua. (蛇口から水が出ていた。)
 Se necesita _ experiencia. (経験が必要だ。)
 Me entró _ sueño. (私は眠くなった。)
 Le falta _ dinero (fuerza). (彼には金(力)が足りない。)

  <名詞+de+名詞>の用法
<名詞+de+名詞>で、ひとまとまりの名詞句を構成する場合、後にくる名詞は無冠詞になります。
 este fin de _ semana (今週末)
 el camino de _ campo (田舎道)

  <de+名詞>の用法
<de+名詞>で、「~のような」という形容詞的修飾語になる場合は、無冠詞になります。
 sus ojitos de _ ratón (ネズミのように小さな目)
 Tiene gestos de _ verdadera princesa (彼女は本当の王女のような顔つきをしている。)

  2つ以上の名詞を列挙する場合
複数の名詞をリストアップする場合は、それぞれの名詞に冠詞をつける必要はありません。
 _ Naturaleza, _ hombres, _ animales, todo estaba dormido. ( 自然も人も動物もすべて眠っていた。)