イタリア語の ad, ed, od
イタリア語の文章を読んでいると ad、ed あるいは od といった単語が出てきて、一瞬何だろう?と思ってしまうこともあります。
この ad、ed、od は、それぞれ以下のように分解することができます。
ad = a + d(a は前置詞「~へ・で」) |
ed = e + d(e は接続詞「~と」) |
od = o + d(o は接続詞「~または~」) |
a は英語の to, at を意味する前置詞で、e は英語の and を意味する接続詞、o は英語の or を意味する接続詞となります。では、この d は何なのか?というと、それぞれの前置詞や接続詞の後に、同じ発音で始まる単語が続いた場合に、読みやすくするために入れる文字ということです。
このような「d」のことを専門的には eufónica と呼んでいます。
以下、例を挙げながら詳しくみていきましょう。
イタリア語の ad
たとえば、以下のような文章があったとします。
Vado a Ancona.(私はアンコーナに行く。) |
このままでは、前置詞の「a」と Ancona の最初の発音が同じなので発音しにくいですね。そこでいったん文章を止めなければ正確な情報も伝わりにくくなります。
そこで、次のように「a」に「d」の文字をつけて「ad」を入れてやると発音しやすくなるというわけです。
Vado ad Ancona.(私はアンコーナに行く。) |
ed、od についても理屈は同じです。
イタリア語の ed
以下のような文章では、「e」に「d」の文字をつけて「ed」とすることで発音がしやすくなります。
Io e Emilio andiamo.(私とエミリオが行く。) |
Io ed Emilio andiamo. |
イタリア語の od
以下のような文章では、「o」に「d」の文字をつけて「od」とすることで発音がしやすくなります。
Vado a Salerno o Olbia.(私はサレルノかオルビアに行く。) |
Vado a Salerno od Olbia. |
なぜ d なのか?
ところで、a、e、o につける文字がなぜ「d」なのか?という疑問が湧いてきますね。
どんな文字でもいいから適当に「d」というわけではなさそうです。
その語源をたどってみると、前置詞「a」はラテン語の前置詞「ad」、接続詞「e」と「o」はそれぞれラテン語の接続詞「et」、「aut」から由来しているからです。
例外について
最後に、ad、ed、od の用法の例外について挙げておきます。
最近の話し言葉では od はあまり使われない。
ieri od oggi → ieri o oggi(昨日あるいは今日) |
settembre od ottobre → settembre o ottobre(9月あるいは10月) |
/a/、/e/ 以外の母音で始まる単語の前でも ad、ed を使うことがある。
たとえば、以下のような場合ですが、これはすでに習慣的な用例になっているため間違いではありません。
ad esempio(たとえば) |
Io ed Andrea andiamo.(私とアンドレアが行く。) |
ad onor del vero(正直言うと) |
同じ母音で始まる単語が続く場合であっても、その単語の最初の音節に d が含まれる場合は使用しない。
ed editori → e editori(そして出版者たち) |
ad andare → a andare(行くために) |
hardware, Hitler, Honda など「h」で始まる外国語に対しては使わない。
後にコンマが来る場合は使わない。
se ne andò ed, essendo testardo, non si voltò a salutarmi → se ne andò e, essendo testardo, non si voltò a salutarmi(彼は立ち去ったが、その頑固さから、振り返って私にあいさつすることはなかった) |
参考サイト(外部)
https://italiantutornow.co.uk/what-are-ed-ad-and-od-in-italian/
https://elblogdegramaticaitaliana.blogspot.com/2014/08/la-d-eufonica-en-italiano-ad-ed-od.html (スペイン語)
https://calzarialati.it/non-categorizzato/e-o-ed-a-o-ad-o-od-od-la-d-eufonica/ (イタリア語)
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