英文広告例 (2)グローバル保険会社英文広告
今回はアジアにも拠点を持つグローバル保険会社の広告です。見開き2ページをフルに使い、熟年の男性の顔を大きくあしらったインパクトのあるデザインです。このおじさんの顔がいいですね。いい写真です。バックのミントグリーン系の色使いも、あの盲目で聴覚も失った画家ゴヤの晩年の作品「ミルク売りの娘」を彷彿とさせます。苦難の日々を過ごしていた頃はゴヤも暗いタッチの絵ばかり書いていましたが、晩年、ほんとに亡くなる直前くらいの作品らしいですが、明るい色彩で光を感じさせます。人生を生き抜いてくるということの重大さと素晴らしさが感じられるようです。 よく何歳過ぎたら自分の顔に責任持て、などといわれますが、このおじさんの顔にも人生の一こま一こまで作り上げられて来た歴史が見えるようですね。そして刻まれた皺の一本一本に人生の出来事がコピーで押さえられています。 上から、 Son attends university Loved one falls ill Birth of first granddaughter 本文も「笑い皺が増えるっていいですよね」といった出だしで始まっています。その後はまあ、おきまりですが、この保険会社のプロモーションが続きます。なんと言ってもたかが広告、売り込みじゃないか、と言われそうですが、それがわかっていても、良いイメージを与える企業メッセージだと言えるでしょう。ひとことでいうと、「深さ」が感じられるんですね。それだけで広告として成功していると思います。 余談ですが、仕事柄、このおじさんの顔の皺を収めるのに、カメラマンもモデルのこの男性も苦労したのかな?なんて考えてしまいます。何枚も撮影したんだろうな?とか。良い写真が撮れるには、カメラマンの力量ももちろん、モデルさんの表現力もありますし、お互いの信頼関係もあります。何度も撮りなおしているうちに、だんだん顔がこわばって来たりするんですが、皺も良く出ていますし、微笑んでいるんですが、馬鹿笑いやしらこい笑いになっていない、笑っていながら、どこか憂いめいたところもあって、人間的な深さが良く現れているような気がします。目の表情も良いです。ちょっとうるんだ感じというのか、ほんとにプロの仕事ですね。 今回は、写真のことばかり語ってしまったような気がしますが、コピーの最後の押さえ、スローガン的にまとめていますが、これもシンプルでわかりやすく、パワーのある表現だと思います。 |