Last update May 29, 2021

単語たちの共存 (3)

ラテン語からの借入語例

フランス語はラテン語から派生した言語であるため、英語に入ってきたフランス語もほとんどラテン語を起源とする語彙ですが、フランス語経由ではなく、直接ラテン語から英語に取り入れられた単語もあります。

ここでは、英語に直接入ってきたラテン語の単語をピックアップしています。

abject (悲惨な)| adjacent (隣接した)| client (依頼人)| collect (集める)| combine (組み合わせる)| comet (彗星)| conspiracy (陰謀)| contempt (軽蔑)| contradiction (矛盾)| distract (注意をそらす)| expedition (遠征)| genius (天才)| gesture (ジェスチャー)| history (歴史)| imaginary (想像上の)| incarnate (具現化する)| include (含める)| incredible (信じがたい)| incumbent (現職の)| index (指標)| infancy (幼児期)| inferior (劣等の)| infinite (無限な)| intellect (知性)| interrupt (中断する)| legal (法的な)| library (図書館)| lucrative (もうかる)| lunatic (狂気の)| magnify (拡大する)| mechanical (機械の)| meditation (瞑想)| missal (祈祷書)| moderate (適度の)| necessary (必要な)| nervous (神経質な)| oriental (東の)| ornate (装飾豊かな)| pauper (貧困者)| picture (絵)| polite (ていねいな)| popular (人気のある)| private (私的な)| prosecute (遂行する)| pulpit (説教壇)| quiet (静かな)| recipe (方法、秘訣)| reject (拒絶する)| rosary (ロザリオ)| scribe (筆記者)| scripture (聖典)| solar (太陽の)| spacious (広々とした)| subjugate (服従させる)| substitute (代用する)| temperate (温和な)| testimony (証言)| tolerance (寛容)| ulcer (潰瘍)|

英語本来の語彙との置き換え

フランス語がラテン語の語彙が導入されることで、本来あった英語の単語が置き換えられ、消失した例もあります。ここでは、そんな語彙についてまとめています。

借用された単語 消失した英語本来の単語 意味
crime(フランス語) firen 犯罪
place(フランス語) stow 場所
people(フランス語) leodl 人々
beautiful(フランス語) wlitig 美しい
uncle(フランス語) eam 伯(叔)父
praise(フランス語) herian 褒める

英語本来の語彙との共存 (1)

ここでは、フランス語やラテン語の単語が借入されても、英語本来の単語もそのまま消失することなく残り、共存している例について考えてみましょう。

フランス語と混在する王侯関係の語彙

たとえば、フランス語からは、王侯貴族に関連する語彙も多く借用されましたが、本来あった英語の語彙をすべて置き換えたわけではありません。下のような英語本来の語彙はそのまま使われており、それと混在する形でフランス語からの借用語が使われてきました。

英語本来の単語 現代英語 意味
cyning king
cwene queen 女王
erl earl 伯爵
cniht knight 騎士
ladi lady 貴婦人、レディ
lord lord 領主

職業関係の語彙での使い分け

職業や技能を表す語彙において、より一般的な職業については英語本来の単語、より特殊で高い技能が必要だとされたものについてはフランス語からの借入語という傾向がみられました。

職業 単語 英語本来/フランス借入語
パン屋 baker 英語本来
粉ひき職人 miller 英語本来
靴職人 shoemaker 英語本来
石工 mason フランス借入語
画家 painter フランス借入語
仕立屋 tailor フランス借入語
商人 merchant フランス借入語


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