日本人は英語がヘタ?中学、高校、大学と勉強していながら話せないのはなぜ?通訳付けないと日常会話もできない首脳は日本だけ?ともあれ英語は世界語になることは間違いなさそう。ここでは「日本人が英語が苦手なわけ」を分析してみたいと思います。


Last update January 7, 2019

日英言語構造、文化の違い (1)

こういうことを言っては元も子もないのですが、実は日本人が英語が下手なのは無理もないことかもしれません。英語と日本語ではあまりにも違いすぎるのです。その「違い」に焦点を当てた効率的な教育法などが確立されない限り、何年学校で勉強していてもマスターできる訳がありません。ですから、日本人が他の外国人に比べて英語が苦手だとしても、少しも不思議ではありません。無理もないのです。





岩波新書から出された『日本人はなぜ英語ができないか』(鈴木孝夫著)にも以下のように書かれています。


日本人に英語は難しい

外国と比較する場合でも、英語を母語としない多くのヨーロッパの国の人々がそれでも英語を自由に使いこなすのは、この人たちの言語が殆どの場合、英語の親戚筋にあたる同系同類のものであって、しかも文化や宗教までが、基本的には、同一といっても差し支えないほど、互いに似通っているといった事実を考慮しなければ意味がありません。

ところが日本語は、英語とまったく違う系統に属する言語であるばかりでなく、日本人の宗教や世界観、そして風俗習慣をも含む文化までも、欧米人のそれとは非常に異なるものですから、彼らが互いの言語を学ぶ際の苦労と、日本人が彼らの言語に習熟するときに経験する困難は比較にならないのです。

よく日本人は、何しろ日本語は難しいから欧米人が学ぶのは大変だなどと言いますが、これとまったく同じことが、私たち日本人が英語を学ぶときにも言えるのだ、ということにきづいている人はあまりいないようです。普通の日本人が日本にいながら英語に習熟することは、この本の中でいろいろと説明するような理由で、一般に考えられているよりも、はるかに難しいことなのです。

アメリカの国務省は、外交官や政府の役人が職務上学ぶ必要のある外国語を、習得の難易の点で区分していますが、日本語はアラビア語と並んで、アメリカ人が習熟することの最も困難な言語とされ、学習に要する時間もフランス語やドイツ語の二倍は必要だとしています。なぜかと言うとアラビア語も日本語と同じく、言語の系統、宗教、そして文化のすべてが西欧の人々にとっては異質だからです。

このように日本語がアメリカ人に難しいことのまさに裏返しとして、英語は日本人にとって、本当はひどく難しい外国語なのです。だから生半可な勉強ではものにならないのも当然なのです。





いかがでしょうか?少し気が楽になったでしょう?そうか、日本人が英語が下手だというのは当然のことなんだ、ということをわかったうえで勉強を続けるのと、ただ闇雲に詰め込もうとするのとは大きな成果の差が出てくるのではないでしょうか。

では、英語と日本語の「違い」についてもっと具体的に見てみることにしましょう。

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