日本人は英語がヘタ?中学、高校、大学と勉強していながら話せないのはなぜ?通訳付けないと日常会話もできない首脳は日本だけ?ともあれ英語は世界語になることは間違いなさそう。ここでは「日本人が英語が苦手なわけ」を分析してみたいと思います。


Last update January 8, 2019

赤ちゃんは語学の天才? (3)

では、大人になった日本人は [ r ][ l ] を永遠に区別できないのかということになります。おそらく、「耳」だけで聞き分けようとするのは無理だと思われます。では、どうすればいいのか?――それには「理屈」と「経験値の蓄積」という戦略をとることができます。大人には大人のやり方があるということです。英語の発音やリスニングはそういった視点からの学習のしかたが必要ではないかと考えています。

まず、考えられるのが「脈絡からのトップダウン方式」」です。脈絡から単語を判断することで [ r ][ l ] を判断することができます。しかし、この方法だけでは十分とは言えません。 He read (「彼は読んだ」)か He led (「彼は先導した」)など、どちらの単語でも意味が通じる場合が出てくるからです。

となれば、やはり、脈絡だけでなく音の本質を理屈でとらえて、それを踏まえたトレーニングを重ねていく必要があるわけです。そういったコンセプトに基づいた教え方やリスニング教材などが出てくるのを期待したいところですね。

ところで、よく一日中部屋のなかで英語の音声をかけっぱなしにしておくと効果があると言われます。また、そんなことをしても効果はないという意見もあるようです。

どんな「効果」を求めるのかということにもなってきますが、個人的には、まったく効果がないとは言えないと思っています。たとえば、海外に2週間ほど滞在してそこの言葉を聞いているうちに、だいたいこんなことを言っているのではないか?と少しわかってくるような気がすることがありますね。





もちろん、「わかってきたような気がする」だけで実際にはわかっていないのかもしれませんが、耳がその外国語の音、リズム、イントネーションなど聴覚的に適応してきているのは確かです。心理的なハードルが低くなってきていると言えるでしょう。では、聴いているだけでその言語が一気に上達するかというと、やはり、それは無理だと思います。意味のわからない単語や表現は覚えないかぎり理解できないのは当然です。

とはいえ、赤ちゃんのように、先入観を忘れて、「無垢」で「白紙」の状態に戻った気持ちで、その言語の音に飛び込み、浸かることで、その言語の感性や感覚を磨くことができるのではないかと思います。

(参考:講談社『音のなんでも小辞典』日本音響学会編)


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