日本人は英語がヘタ?中学、高校、大学と勉強していながら話せないのはなぜ?通訳付けないと日常会話もできない首脳は日本だけ?ともあれ英語は世界語になることは間違いなさそう。ここでは「日本人が英語が苦手なわけ」を分析してみたいと思います。


Last update January 8, 2019

英語の周波数は日本語よりはるかに高い? (1)

中学以来、長い間英語を勉強し続けて来たのに、やっぱり聞き取れない部分がある。一体これはどういうことなんだろう?たとえば、I want to go が「アイ・ワナゴウ」だとか、in front of が「インフラナブ」などという例は、慣れてしまえば問題ないし、子音が「消音」になる場合や早口で話された言葉もなんとなくわかるような気がする。

でも、長いセンテンスになったり、もごもごしゃべるオジサンの会話だとか、映画などで小声で話しているセリフだとか電話の向こうの声とかになってくるとどうも、とたんに自信がなくなり、投げ出したくなる。かなり英語の上達をされている方でもこういった悩みをお持ちの方がけっこういらっしゃると思われます。





以前ヒマつぶしに「英語。確実に聴き取る技術――このポイントを押さえればリスニングは克服できる」というタイトルの文庫本を読んだことがありましたが、いまひとつ役に立ちませんでした。というのは、これは英語のネイティブによって書かれた本なので、日本人と英語ネイティブの音に対する特性や育った音の環境というものが全く考慮されていないからです。とはいえ、英語リスニングの初期の段階にいらっしゃる方にとっては、英語独特の聞こえ方といったものが説明されていて役に立つかもしれません。

そういうわけで、この「もわもわ」と不明瞭で聞こえない部分は何なのか?見えない「耳」のカベのようなものがあるのではないか?というようなことを考えてしまうわけです。ずっと前の話になりますが、かつて話題になった「周波数」の違いというのがありました。

つまり、「日本語の周波数は125~1500Hz(ヘルツ)に対して英語の周波数は2000~12000Hz」というような内容ですが、日本語の周波数は英語の周波数にくらべて低すぎるため、英語が聴き取れないという理屈です。これについて「根拠があるだのないだの」という議論もされているようです。

ちなみに、ここの「言語の周波数」という言い方自体が誤解をまねくというか、「周波数が違うってどういう意味?」とか、「周波数の何か違うのか」、「何の周波数が違うのか」という疑問が出てきますね。ここでいう「周波数」というのは、通過帯域(つうかたいいき)またはパスバンド (passband) といい、「フィルタを通過させる周波数または波長の範囲」だということになります。

ですから、厳密に言えば「日本語という言語に特有の通過帯域が125~1500Hzで、英語に特有の通過帯域が2000~12000Hz」だということで、結局どういうことかというと、日本語では125~1500Hzの範囲外の音はフィルタを通過させない→言語情報として受け取らない→「雑音」として処理するということですね。さらに言えば、英語の音のほとんどが、日本語では範囲外ということになり、「雑音」として処理してしまうという傾向があるわけです。

次のページへ