なぜ、日本人は英語が話せないのか? (1)中学、高校、大学と、英語を勉強してきたのに、やっぱり英語が話せない。一体これはなぜ?カンタンですね。その答えはずばり、――話さないからです。しゃべらないからしゃべれない。しゃべらないのに、いきなり「さあしゃべろう」と思って話せるものではありません。言葉は実践あるのみ。机上の理論で、いくら文法や単語を覚えても、実際に「話す」という実践がなければ話せるわけがありません。 日本語もそうですね。なぜ、あなたは日本語が話せるのですか?――それは、生まれてこのかた、ずっと日本語を使ってきたからに他なりません。では、しゃべれるようになるにはどうするか?――しゃべればいいのです。 「英語を話せるようになりたいので、英会話スクールに通う」というのもいいのですが、英会話スクールに行って、そこで何をするのかということは、しっかりと押さえておいたほうがいいと思います。 言いかえれば、英会話スクールに通っても、先生のお話や、他の人の話をじっと聞いているだけで、「聞いているだけでも勉強になるんです」――というのでは、受講料がもったいないですね。聞くだけなら、英語の映画やドラマを観れば十分ですね。そう、英会話スクールに行っても「しゃべらなければ意味がない」ということなのです。 もっと言ってしまえば、「英会話スクール」に行って「英会話を学ぶ」という発想がおかしいのかもしれません。言葉のあやだといえばそれまでなのですが、そもそも「会話」というものは、教えてもらうものでしょうか?「会話」というものは、自分から発言していくものであって、教えてもらうものではないと思うのです。 もちろん、こんな表現のほうがわかりやすいですよ、と教えてもらうことはあっても、それは、ブロークンなり何なりと自分から発言するから直してもらえるわけであって、ただ沈黙を守っていたり、あいづち程度や答えだけを簡単な単語ですますくらいの「発声」程度では、決して上達しません。 言葉は、話せば話すほど上達するのですが、日本に住んでいては、そのしゃべる機会がない、それを補うのが英会話スクールだと位置づけることが会話上達への秘訣です。 「そりゃそうだろうけど、やっぱりね」とか「いきなりしゃべれって言われてもね」という声も聞こえてきそうですが、実はそこに、日本人の精神というか、良い面もあるのですが、謙虚さや慎み深さ、寡黙さを美化するような心理状態が邪魔をしているような気がします。日本社会において、日本人相手に日本語を話すときは、そういった「日本人の心」は大切な要素ですが、英語は英語圏の人を相手に話す言語です。 まず、英語を話すときには、そういった、良くも悪くも日本人的な精神態度というものを取り除くところから始めることが大事なのです。 では、英語を話すうえで、邪魔にはなっても得にならない日本人的感覚をじっくり見つめてみましょう。 |