Quotation Marks “ ” ‘ ’ 引用符
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引用符の役割
コンマが逆さまになった形をしていることから、inverted commas と呼ばれることもありますが、ご存知のように、誰かが言った言葉などを引用する場合に使われます。それ以外にも、書物の小見出しなど、文中にそのまま出てくると紛らわしいものなどを囲む場合にも使われます。日本語のカギ括弧とは全くイコールではありません。また、文中の単語などを囲んで特殊効果を与えようとする用法もあります。
引用符には二重の“ ”だけでなく、シングルの‘ ’というものもあります。これも、どちらでもいいというわけでなく、引用符の文章のなかに、さらに引用を使いたい場合にシングル引用符を使います。その他、シングル引用符は、哲学や思想的な内容で、キーコンセプトとなる専門用語などを目だ立たせるために使われることもあります。
また、キーボードから入力する場合は、引用符として " "および' が使われますが、厳密に言うと、これらの記号は quotation mark glyphs (グリフ)と呼ばれ、もともと、タイプライターの引用符として使われていたものです。ここでは、本来の “ ” ‘ ’ を使って説明しています。
引用符のルール
以下、引用符を使うルールについて見てみましょう。
では、詳しく見ていくことにしましょう。
1. 話し言葉や文章を引用する場合。
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誰かが実際に言った言葉などを表現するときに使います。カッコと同じように、前後の引用符のそれぞれ、前と後には半角スペースを入れます。ただし、後の引用符に句読点が続く場合、その引用符と句読点の間のスペースは不要です。
また、ピリオドのところでも触れましたが、句読点を引用符の中に入れるか、外に出すかということについては、一般的に、アメリカでは引用符の中に押し込んでしまう場合が多いようです。それに対して、イギリス英語圏では、きちんと脈絡を考えて、引用符の中の情報に関連する場合は中に置き、関係のない場合は、外に出すという考え方をしているようです。引用符と句読点については、疑問符のページでも説明しています。
Her daughter said, “I've done my homework.”
He yelled, “Don't do that!”
I can't believe he said, “That's not my fault”!
Did he say, “I have to leave”?
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2. 書物の小見出しや芸術作品の名前など。
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たとえば、『猫の言葉がわかる本』という題の本のなかの、第1章「猫の言葉とは」といった小見出しを表す場合に使います。では、本全体の『猫の言葉が…』というタイトルはどうするのかというと、これは、アンダーラインを引くとか、イタリックにするという方法が取られます。
また、書物だけでなく、詩や音楽の曲名、絵画など芸術作品のタイトルを表す場合にも、引用符が使われます。
I've read “What's the cat's language?” of Manual to Master the Cat's Language.
He refers to the painter's painting named “Spring Sunset”.
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3. 引用符のなかの引用符―シングル引用符。
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「『どういう意味?』ってどういう意味だよ?」といった引用符のなかの引用符は、シングル引用符で表します。ところが、これもアメリカとイギリスでは若干用法の違いがあります。
アメリカでは、外側の引用符と内側の引用符の関係が、ダブル→シングル(ダブルの引用符のなかにシングル)となるのが主流ですが、イギリスでは、逆に、シングル→ダブルが使われる場合もあります。どちらが正しいとか間違いというわけではありませんが、ひとつの文書のなかで、ダブルとシングルがばらばらになったりせずに、きちんとルールを踏襲することが大切です。
He asked, “What do you mean by ‘What do you mean?’?”
He asked, ‘What do you mean by “What do you mean?”?’
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4. 特定の言葉などを目立たせる。
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日本語で言えば、彼の言う「美しい永遠の女性」とは彼女のことか、あるいは、(くだんの)「急ぎの仕事」の件なんだが… といった用法のことです。
ただし、日本語の場合は、カギ括弧でくくることで強調の意味が出てきますが、英文ではやや事情が異なるようです。つまり、“Not” Expensive! といった強調の意図で使うのは間違った使い方だとされています。日本語の文書などを訳していると、つい原文に合わせて引用符で囲んでしまうのですが、注意が必要です。
なかでも十分注意したいのは、scare quotes と呼ばれますが、引用符で囲むことで皮肉や疑わしさを表す用法です。たとえば、以下のような場合があります。
皮肉をこめる(例:彼は自称「芸術家」だ)
疑わしいという思いを表現する(例:また体重「10キロ」減なんていうダイエット食品が…)
まったく逆だろうと言いたいとき(例:うちの母は「優しい」母親らしい)
The owner of the store says he sells only “fresh” fish and vegetables.
He is a con man who claims to be an “artist”.
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引用符で囲んでいるということは、「その言葉の本当の意味を考えろ(本当は違う)」というサインだというわけですが、もちろん、引用符で囲む用法はそれだけではありません。以下のような場合にも引用符が使われます。
文章の一部ではないという意図(例:今日は「言葉」という言葉を覚えた)
その言葉が特殊な使われ方をする場合(例:森の土は枯れた落ち葉を「食べて」くれる)
最初の例は、○○という言葉といった場合の○○に該当する部分を引用符で囲むことで、その部分が全体の文章の中の一部ではないことを表します。二番めの例では、「通常ではその文脈でその言葉を使うことはない」とか「その単語と組み合わせることはない」場合に、特別な効果を出すために使う用法です。
People often misunderstand the concept “diversity”.
The soil in the forest “eat” dead leaves.
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引用符を強調の意味で使うのは間違いだと言いましたが、では、強調する場合はどうすればいいのかというと、NOT Expensive や Not Expensive というふうに、大文字にするとかアンダーラインを使って表現します。
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