「決まり文句」が会話を可能にするさて、ラジオ英会話でリスニングも鍛えられ、自信もついてきましたが、まだまだ英会話をするほどまでにはいたっていませんでした。というか、英会話をするような機会は、自分のまわりでは「ほとんどゼロ」でした。もちろん、英語クラブなどというものもありませんし、何度も言いますが、ど田舎なので外国人の存在もありません。たとえ国際時代と言われて久しい今現在であっても、やはり外国人の姿など見かけません(それどころか、過疎化する一方です)。それでも、「いつか英語で外国人と話ができるようになりたい」というのが幼いころからの夢。ひたすら英語の学習を続けました。どんなことをしたかといえば、もちろん、せっかくやり始めた「ラジオ英会話」です。その会話部分をすべて暗記することです。というより、暗記するまで何度も読むわけです。そうすればいつの間にか覚えてしまいます。もちろん、読むといっても、ただ目で追って「黙読」するというのではありません。口に出して読むのですが、それもまた、自分勝手に読んでも意味がありません。前のページでも書いたように、ネイティブスピーカーの読み方をそのまま――イントネーション(抑揚)から音の強弱、どこで区切るかも合わせて丸ごと――真似するのです。 そうすることで、英語らしい発音や発声ができるようになるための「運動神経」と「筋肉」を鍛えることができるわけです。英語が通じるか通じないかはこの「英語の運動神経」と「筋肉」にかかっているといっても過言ではありません。とにかく、毎日のようにテキストを声に出して読み、覚えてしまうのです。 なぜ、テキストを覚えてしまうと効果があるのかというと、こういった会話のテキストには、「決まり文句」 こうして、毎日口がだるくなるほど(だるくなってそのまま眠ってしまうこともありました)、声に出して練習し決まり文句を覚えるという努力を重ねているうちに、ある日ついに、「外国人と英語で話す」という機会がやってきました。 それは、中学校の修学旅行で京都の清水寺を訪れたときのことでした。なにしろ京都ですから、世界中から観光客が集まります。そこで、初めて数人の外国人に英語で話しかけたのです。 そして、今から思えば、「なんで?」というような、日本人として恥ずかしいことなのですが、ふと目に留まったのは、「他校の修学旅行生が外国人にサインをもらっている」らしき(今にして思えば異様な)光景でした。その他校の修学旅行生も「制服」を着ていましたので、おそらく私のように「田舎」からやってきた中学生だったのでしょう。しかし、サインをもらおうとしているのですが、どうもあまり「通じていない」というのか、英語できちんとお願いしていないような様子でした。そこで、(なんでサインをもらう必要があるのか?という疑問には気づかず)、「ここで英語を使ってみよう!」と思ったわけです。 では、どう言えばいいのかと考えていると、ふと思い浮かんだのが、「決まり文句」で覚えた よし、ここの「 そうやって何人かの人たちにサインをしてもらいましたが、これが、私の初めての外国人と英語で話して通じた経験だったのです。これまで一人でコツコツと努力してきて、「果たして自分の英語が通じるか」という不安もありましたが、この経験ですっかり自信をつけることができたわけです。 後で思えば、「サイン」は また、ここでは「ラジオ英会話」を取り上げているが、今ではいろんな英語教材もそろっている。英語の「決まり文句」を効率的に覚えるには、下に紹介している教材などもよさそうである。 |