はじめてのスペイン語 いちいち辞書を引き引き、発音を確認しなければならない英語と比べるとスペイン語の発音はシンプル。ほとんどが日本語の発音で十分通じます。とはいえ、若干の違いはあります。



Última actualización: 13 de mayo 2019


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発音はどこが違うの?

スペイン語の単語では、日本語のように母音と子音がセットになった音が多く使われているため、日本人にとっては、非常に親しみやすい発音体系だと言えるでしょう。もちろん、厳密には、同じような音でも、日本語とスペイン語の発音では厳密な違いもありますが、実際は、日本語式の発音でほとんど問題なく通じます。スペイン語の発音の詳細については専門書に委ねるとして、ここでは、日本語と異なる発音について見ていくことにしましょう。

まず、スペイン語の表現をいくつか見てみましょう。発音の欄の赤文字はアクセントを表します。

スペイン語 発音
casa blanca カサ・ブンカ
「白い家」
¿Dónde está el restaurante? ンデ・エス・エル・レスタウンテ
「そのレストランはどこにありますか?」
Este es un libro. ステ・エス・ウン・ブロ
「これは1冊の本です。」

いかがでしょう?なんだ、まるでローマ字読みじゃないか?ということになりますね。基本的には、日本語の発音でローマ字読みすればよいのですが、すべてそれで OK かというと、さすがに、世の中そんなに甘くはありません。ということで、次は、日本語読みとは違う、スペイン語ならでは発音のルールについて見てみましょう。


スペイン語の発音ルール

  h」の音は発音しない。
フランス語、イタリア語、ポルトガル語などのラテン語から派生した言語でもそうですが、スペイン語でも、[h] はすべて「無音」になります。

  hotel  ル 「ホテル」    hombre  ンブレ 「男」    ¡Hola!  ラ 「やあ!」

  b」、「v」の音はともに [b] の音になる。
英語のように [v] は、下唇をかんで発音するなどという必要もなく、日本語の「バビブベボ」に近い音で発音できるというのもうれしいスペイン語発音の特徴です。

  voy イ 「私は行く」    beber  ベール 「飲む」    vivir  ビール 「生きる、住む」

  f」の音は英語と同じ。
英語の発音のように、下唇を上の前歯で少しかむようにして摩擦させて発音させます。

  familia ファリア 「家族」    café  カフェ 「コーヒー」    flor  ロール 「花」

  ñ」の音は「ニャ行」の音になる。
スペイン語独自のアルファベットである「ñ」の音で、母音との組み合わせで、「ニャ、ニィ、ニュ、ニェ、ニョ」に近い音になります。

  niño  ニーニョ 「男の子」    mañana  マニャーナ 「明日」    compañía  コンパニィーア 「会社」

  ll」の音は「リャ行」または「ジャ行」に近い音になる。
スペイン語独自のアルファベットである「ll」の音で、厳密には、舌の前方部分を口の天井に密着させたまま息を出して発音します。どちらかというと、日本語の「リャ行」に近い音になるのですが、舌の前方部分を口の天井に密着させて、「ジャ行」の音を出すようにして発音されることも多く、ちなみに、筆者も「ジャ行」に近い発音をしています。

  calle  ジェ 「街路、通り」    lluvia  ジュビア 「雨」    llorar  ジョラール 「泣く」

  rr」の音は巻き舌の「r」の音になる。
スペイン語独自のアルファベットである「rr」の音で、舌先を震わせて出す「ル」に近い音で発音されます。その他、単語の最初にくる「r」の音、「l」、「n」、「s」の後に来る「r」の音もこれと同じ発音になります。

  perro   「犬」    rosa  サ 「バラ」    honra  オン 「名誉」

※「このラ行の巻き舌ができない」という人もいるかもしれませんが、できなくても通じますし、それほど神経質になることはありません。「いや、自分はどうしても巻き舌をマスターしたい!」という人は、秘伝「巻き舌の出し方」をご覧ください。

  英語の「th」([θ])の音。
舌先を歯の間で軽く摩擦させて出す、英語の thinthank などの「th」([θ])の発音もあります。この発音が使われるのは、以下のスペルに対してです。

ci, ce, za, zi, zu, ze, zo
  nación  ナオン 「国家」    zona  ナ 「区域」    once  オン 「数字の11」

※この「th」([θ])の発音は、中南米などでは [s] の発音で代用される傾向があります。そのため、casa(「家」)と caza(狩り)などのように発音の区別ができなくなる単語もあります。

  のどの奥から出す「ハ行」に近い音。
以下のスペルに対しては、のどの奥から出す「ハ行」に近い音になります。のどの奥から息を出して、のどの奥を震わせるようにして出します。たとえば、のどの奥に魚の小骨などが引っかかったときに、息で摩擦させるように「かっ」というときの音に近いでしょう。とはいえ、あまり力んで強い音を出す必要はありません(のどが痛くなってしまいます)。

gi, ge, ja, ji, ju, je, jo
  gest  スト 「表情」    Japón  ポン 「日本」    ojo   「目」

  x」の発音。
基本的に、英語の発音と同様に [-ks-] と発音されますが、「x」が子音の前に来る場合や単語の最初に来る場合は、[k] の音が脱落して [s] の音になる傾向があります。また、México (メキシコ)など、メキシコの原住民語を由来とする単語は、上の、のどの奥から出す「ハ行」の音になります。

  taxi   「タクシー」    examen  エメン 「試験」    excusa  エ()スサ 「言い訳」
  xilófono  フォノ 「木琴」   xico  コ 「メキシコ」

  「カ行」の音を表すスペル。
スペイン語では、アルファベットの「k」は外来語を表記する以外には使われず、もっぱら「c」と「qu」と母音を組み合わせて表記します。ちなみに、日本語の「カキクケコ」を表記すると、以下のようになります。(子音と母音を組み合わせたアルファベット表記については、子音・母音発音表をご覧ください。)

ca, qui, cu, que, co
  cosa  サ 「物、事」    queso  ソ 「チーズ」    cultura  トゥーラ 「文化」

※スペイン語では、「qua」や「quo」で表記される単語はほとんどありません。「クァ行」の音は一般的に「cua」「cui」など、「cu-」と母音を組み合わせて表記されます。

  「ガ行」の音を表すスペル。
スペイン語では、他の言語と同様に「ガ行」の音を表すのに、アルファベットの「g」が使われますが、前述のように、「gi」、「ge」については「ハ行」の音になってしまうため、「ギ」、「ゲ」音を表記するには、それぞれ「gui」、「gue」を使います。(子音と母音を組み合わせたアルファベット表記については、子音・母音発音表をご覧ください。)

ga, gui, gu, gue, go
  gato  ト 「ネコ」    seguir  セギール 「続ける」    guerra  ラ 「戦争」

  「グァ行」の音を表すスペル。
スペイン語の「クァ行」の音は、前述のように「cu-」と母音の組み合わせで表記しますが、「グァ行」の音は、「gu-」と母音の組み合わせで表記します。しかし、そのとき、「gui」と「gue」はそれぞれ「ギ」、「ゲ」と発音しますから、発音的に区別できないことになってしまいます。そこで、「グィ」、「グェ」を表記するために「u」にウムラウトをつけて、それぞれ「güi」、「güe」とつづります。(子音と母音を組み合わせたアルファベット表記については、子音・母音発音表をご覧ください。)

gua, güi, güe, guo
  guante  グァンテ 「手袋」    vergüenza  ベルグェンさ 「恥」    antiguo  アンティグォ 「古い」

  二重子音の発音。
-tr-」や「-cl-」などのように「l」や「r」と組み合わさった子音は、2つの子音を続けて発音することがポイントです。たとえば、tres「数字の3」であれば、「トレス」(to-re-su) のように最初の「t」の後に「o」の音が入らないように注意してください。日本語はすべての音に母音が入りますので、外国語の発音においてもつい余計な母音の音が入りがちになります。日本語では表記の方法がないため、あえて表現すると「tレス」といった感じになるでしょう。

p, t, c, b, d, g, f + [l] or [r]
  compra  コンpラ 「買い物」    tigre  ティgレ 「トラ」    clase  kラセ 「クラス」


以上、スペイン語の発音で注意すべき点を挙げてみました。これ以外の発音については、たいていローマ字読みで問題ないと思われます。よりスペイン語らしい発音をめざすには、専門書などを参考にしてください。