微妙なニュアンスの違い
また、他動詞だけでなく、自動詞の両方の用法を持っている動詞であっても、代名動詞として使用することで、微妙な意味の変化が出てくるものがあります。たとえば、abrir という単語を見てみましょう。
辞書を引くと、他動詞の意味の後に小さく「開く」という自動詞の意味が書かれています。このため、わざわざ
abrirse の形を使わなくても問題なさそうです。あるいは、どちらの形を使っても同じだと思ってしまかもしれません。しかし、そもそも、不定動詞 (
abrir) と代名動詞 (
abrirse) の両方に「自動詞」の意味があるとすれば、何らかの用法の違いがあるはずで、この場合、不定動詞の自動詞は限られた用法でしか使われません。
Carmen abrió la puerta.
(カルメンはドアを開けた。下線は目的語)―他動詞
Esa nueva puerta abre bien (mal).
(その新しいドアはよく開く(開きが悪い)。)―自動詞
De repente, la puerta se abrió.
(突然ドアが開いた。)―代名動詞
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不定動詞の自動詞の意味は、ドアの開きが良い・悪いといった機能面のことを言っています。よって、一般的に「ドアが開いた」などという場合は、代名動詞を用いて表現するのが普通です。
その他、自動詞の意味と代名動詞の意味が異なる動詞には以下のようなものがあります。
動詞 |
代名動詞 |
cerrar
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閉まりが良い・悪い |
cerrarse
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閉まる |
dormir
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眠っている |
dormirse
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眠りにつく、しびれる |
ir
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行く |
irse
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行ってしまう、去る、死ぬ |
quedar
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(ある場所に)残る |
quedarse
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(物・記憶などを)保持する、選択する |