自動詞的な用法
では、「他動詞」としての用法しか持たないスペイン語の動詞を使って、「自動詞」的な表現をする場合はどうしたらいいのかという疑問が出てきます。
上で挙げた英語の
surprise などであれば、単純に「受身形」にして、
I was surprised at his reaction.
(彼の反応には驚いた。)
|
といった表現をすることができますが、スペイン語ではそういうわけには行きません。もちろん、強引に受身形にして、
Fue sorprendido por su reacción.
|
と表現することもできますが、どうもスペイン語らしくありません。
スペイン語の受動態の考え方でも述べていますが、スペイン語では「
be 動詞 + 過去分詞」のような受身形はほとんど使われません。
そこで、「代名動詞」によって「自動詞」の用法を代用するというわけなのです。
たとえば、「座る」という動作を考えてみましょう。英語の
sit では、自動詞の「座る」という用法があるのですが、スペイン語の
sentar には「座らせる」という他動詞的用法はあっても、「座る」という自動詞的用法はありません。そこで、再帰代名詞を伴う代名動詞
sentarse を使うことで、
sentar --> sentarse
|
私は座る |
me siento
|
君は座る |
te sientas
|
彼/彼女は座る |
se sienta
|
私たちは座る |
nos sentamos
|
君たちは座る |
os sentáis
|
彼らは座る |
se sientan
|
という自動詞の表現をすることができます。
La madre sienta al niño.
(母親は子供を座らせる。下線は目的語)―他動詞
La madre se sienta.
(母親は座る。)―代名動詞(自動詞化)
Acercamos la silla a la mesa.
(我々は椅子を机に近づけた。下線は目的語)―他動詞
Nos acercamos a la mesa.
(我々は机に近づいた。)―代名動詞(自動詞化)
|
このように、他動詞を代名動詞として表現することで、他動詞から自動詞的な意味に変えることができます。
なお、上の例で挙げた
sentarse は、
levantarse などと同様に、文法書によっては「再帰動詞」として分類されている場合があります。