イタリア語の ne と ci
ne、ci とは?
ここでは、イタリア語特有の代名詞である ne と ci についてまとめています。
ne と ci が正しく使えるようになると、イタリア語のスキルもぐんと向上するようですが、そもそも、この ne と ci とはいったい何なのか?というと、「代名詞」なのです。(ちなみに、ci と言えば、「私たち」という2人称複数形の 代名詞としても使われています。)
「代名詞」と言っても、io(「私は」)や tu(「あなたは」)などの代名詞とは少し異なり、一言で言うと
を表す「代名詞」というわけです。
具体的な例を挙げてみましょう。
Leggi il libro?(君はその本を読んでいるのか?)
Sì, lo leggo.(ええ、私はそれを読んでいる。) |
Mangi la torta?(君はそのケーキを食べるのか?)
Sì, la mangio.(ええ、私はそれを食べる。) |
最初の文章では、il libro が目的語になるため、lo という与格目的語となる3人称男性単数の人称代名詞を使えばいいわけです。また、2番目の文章では la torta が目的語になるため、与格目的語の3人称女性単数 la を使います。
では、次のような例はどうでしょう?
Parlate del libro?(君たちはその本のことを言っているのか?)
Sì, ne parliamo.(ええ、私たちはそのことを言っている。) |
Che cosa hai messo nella scatola?(君はその箱の中に何を入れたのか?)
Ci ho messo delle lettere.(その中に何通かの手紙を入れた。) |
というふうに、名詞だけでなく、「名詞と前置詞」を丸ごと代名するのが ne、ci なのです。
では、 ne と ci の使い分けはどうなっているのかというと
ne |
di, da + 名詞(「名詞」について、「名詞」から) |
ci |
a, in, da, su + 名詞(「名詞」へ、「名詞」の中に、「名詞」から、「名詞」の上に) |
となります。
ne の使用例
ここでは、ne を使った例をもっとみてみましょう。
1. |
Hai bisogno di una sedia?(君は椅子が必要か?)
No, non ne ho bisogno.(いやそれは要らない。) |
2. |
Avete voglia di una torta?(君たちはケーキが欲しいのか?)
Sì, ne abbiamo voglia.(ああ、それが欲しいな。) |
3. |
Parlano spesso di musica?(彼らは音楽についてよく話すのか?)
Sì, ne parlano sempre.(はい、それについていつも話しています。) |
4. |
A che ora esci dall’ufficio?(君は何時に事務所を出るのか?)
Ne esco alle 6.00.(そこを6時に出る。) |
5. |
Quante torte mangi?(君はケーキを何個食べるの?)
Ne mangio tre.(それを3個食べる。) |
6. |
Quanti chili di carne comprate voi?(君たちは肉を何キロ買うのか?)
Ne compriamo quattro.(それを4キロ買う。) |
7. |
Hai mangiato tutta la pizza?(君はピザを全部食べたの?)
Ne ho mangiato un po'.(それを少し食べた。) |
8. |
Vuoi del vino?(君はワインが欲しいか?)
No, non ne prendo.(それは全く欲しくない。) |
1.、 2. では、「必要だ」、「欲しい」という意味だけをみると「前置詞」的な情報がなぜ必要かと思ってしまいますが、イタリア語の表現では avere bisogno (voglia) di というふうに、最後に入っている前置詞の di を含んだ代名詞になっているからです。
また、5. から 8. のように、「(名詞)のうちの少し・(名詞)をいくつ」など、その名詞の数量を表す場合にも使われます。
ci の使用例
ここでは、ci を使った例をもっとみてみましょう。
1. |
Pensi molto alla tua infanzia?(君はよく子供のころのことを考えるか?)
Sì ci penso spesso.(うん、それについてよく考える。) |
2. |
Credi ai miracoli?(君は奇跡を信じるか?)
No, non ci credo molto.(いや、それはあまり信じない。) |
3. |
A che ora andiamo al ristorante?(何時にレストランに行くか?)
Ci andiamo alle sette.(そこには7時に行く。) |
4. |
Sei mai stata in Firenze?(君はフィレンツェに行ったことがあるか?)
No, non ci sono mai stata.(そこにはまだ行ったことがない。) |
5. |
Siete saliti sull'autobus?(君たちはバスに乗ったか?)
Sì, ci siamo saliti.(ああ、それに乗った。) |
注意事項
ci を使用する際の注意点があります。たとえば「それをそこに連れていく」というような場合ですが、組み合わせる代名詞が lo, la, li, le といった3人称の直接目的語として使われる代名詞の場合、ci が ce に変化します。 mi, ti, vi の場合は変化しません。
ところで、ci は「私たち」を意味する代名詞(与格・対格代名詞)と同じであるため、ややこしい部分が出てくるのですが、この ci が代名詞の ci と組み合わさった場合はどうなのかという疑問が出てきます。この場合は ci ci とはならず、ci は1つのみで使います。
例文を挙げておきましょう。
1. |
Chi mette la mia borsa sul tavolo? -- Ce la metto io sempre.(誰が私のかばんをテーブルの上に置くのか?—私がいつもそれをそこに置いている。) |
2. |
Porti il cane dal veterinario? -- Si, ce lo porto.(キミは犬を獣医に連れて行くのか?—はい、それをそこに連れていく。) |
3. |
Ce ne andiamo.(ここをおいとましよう。) |
4. |
Noi dobbiamo andare al lavoro, chi ci porta?(私たちは、仕事に行かなくちゃならないが、誰がそこに連れて行ってくれるのか?) |
上の例文の 4 は、ci と ne を組み合わせて使う場合も同様に、ci がce となる例を示していますが、この場合の ci(ce)は、ここで説明している ci ではなく「私たち」を意味する再帰代名詞です。
語順について
ne、ci は目的語と同様に、動詞の前に持ってきますが、volere parlare のように動詞が2つ組み合わされる場合は、原形となる動詞の語尾につきます。
1. |
Parliamo del viaggio.(その旅行について話そう。)
Ne parliamo.(それについて話そう。)
Vogliamo parlarne.(それについて話したい。)
|
2. |
Non andiamo all’ufficio.(事務所には行かないでおこう。)
Non ci andiamo.(そこには行かないでおこう。)
Non possiamo andarci.(そこには行けない。) |
参考
https://learnitalian.web.unc.edu/home/pronouns/ne-and-ci/
|