アライグマ奮闘記(2)

二拠点生活―田舎編

さて前回は、「仕切り直し」だとか「休戦」だとか言い訳をしながら逃げるように帰京したわけだが、1か月後に再び帰省。今回もまたアイツらが暴れているような状況であれば、即「業者を呼ぶ」という覚悟であった。

それ以前に、家がめちゃめちゃに破壊されていたらどうしよう、天井板が抜けて、アラ家族が食卓を囲んでいたり、畳がずたずたにされていたりしたら… といった不安を抱えながらおそるおそる玄関の戸を開けると…

静かだった。

ほっと胸をなでおろしながら家じゅうをチェックする。

多少、天井裏からゴミが落ちてきているような気配はあったが(古い木造家屋なので強い風でゴミや埃は落ちて来る)、まずまず問題なさそうである。

しかし、油断するわけにはいかない。こうしてほっとしている間にも、いつ何時、ガラガラドッシンピッチャン!などという音がして「アラ・リターン」が起きるやもしれない。寝ていても、「今か今かと(待ち望んでいるわけではない)」とちょっとビクビクしてしまう。ええい!こんな状態では落ち着かない。第一、これじゃあまりにもふがいない。根性なさすぎである。ここはひとつ、気を落ちつけて、「来てみろ、来たら即刻業者呼ぶからな!」と言い聞かせながら気を強く持つことにした。

次の日も来なかった。

そして、次の日も、その翌日も…。

諦めて出ていったのか、それとも、別宅に移ったのか(ヤツらには何軒も行き先があるようだ)。

あるいは、今は夏である。夏の天井裏はかなり暑いだろう。つまり、シーズンオフというわけか。

いずれにしろ、外から入って来ない(来たくなくなる)ように、できるだけのことはしておこう。伸びきって屋根にかかっていた梅の木の枝を短くカットする。そして、家の周りには忌避剤を置き、ペットボトルを改造した容器に木酢液を入れてあちこちに設置する。さらに、噴霧器を買ってきて、家の外壁に木酢液を吹き付けておく。

ペットボトルの上のほうに穴を開け臭いが出ていくような仕掛け(どこかのサイトで教えてもらった)。
ラグの染みは、ペットボトルに移す際にこぼれた木酢液。

これで様子を見ることにしよう。

あれから、また1か月が経ち、今は8月である。前述のように、夏である。シーズンオフである。

「アラ・リターン」は起きていない。

PartiallyCranky60

生まれ故郷の田舎に戻り、土まみれになりながら実家の管理をしてしばらく暮らす。そして京都に戻り仕事や自分のメンテナンスをするという二拠点生活が定着してきた。あっという間に1か月過ぎ、1年が過ぎる。忙しい。とにかく忙しい。退屈しているヒマもない。綱渡りのような生活。大変だが、スリルがあるとも言える。もっと時間が欲しい。