ある日のこと、上の階に引っ越してきたばかりのオーストラリア人が言いました。「畳の臭いに耐えられない。なぜこんなに臭いの?不良品じゃないの?」それを聞いてすぐに、畳の材料である新しいイグサの清々しい臭いのことだなとわかりました。日本では、新しい入居者のために畳を新調する習慣があり、彼の畳も新品のものに変えてもらったのだろうと察しがつきました。
「なぜ臭いの?」と食い下がるオーストラリア人に、「新しい畳の臭いね。いいなあ。うちの畳はもう古くて擦り切れてきたので、新しいのと換えて欲しいくらいよ」と答えました。すると、「じゃあうちのと取り替えてくれる?」と言うのですが、もちろん、そんなことはできません。勝手に畳を交換するなどということは、日本ではできないことになっています。また、日本人にとっては、新しい畳の臭いは新鮮ないい臭いなんだということも説明しました。もちろん、例外もあるかもしれませんが、ほとんどの日本人は好きな臭いです。「郷に入りては郷に従え」というわけじゃありませんが、良い臭いなんだと思えば気にならないかもしれません。
とはいえ、どうしても耐えられないのなら代わりに大家さんに話をしてあげてもいいと思っていましたが、どうやらその必要もなかったようです(古い畳と取り替えてもらったとか、臭いを消すために何らかの対策を取ったわけでもなさそうです)。
ところで、たまたま、畳について書かれたホームページを見つけましたが、それによると、畳には次のような効用があるようです。
1) 空気が乾燥しているときには水分を放出し、湿気のあるときは水分を吸収してくれる。
2) シックハウス症候群の原因となる二酸化窒素、ホルムアルデヒドなどの物質を吸引して、室内の空気を浄化してくれる。
3) 畳の表面に使われているイグサの色と臭いは、精神を落ち着かせ、集中力を高める効果がある。
4) 畳の表面(イグサ)と内部(ワラ)は、空気をたくさん含んだ多孔性構造になっているため、優れた断熱性・保温性を保ち、年間を通じて快適に過ごせる。
5) 多孔性構造をなす表面のイグサには、ほどよい弾力性と柔軟性があるため、転倒した場合の怪我から高齢者や子供を保護する。
6) 空気を保持するため、木製の床よりも音や衝撃をよく吸収し、静かである。
以上、長所が多く、畳が重宝される理由が納得できますが、長所ばかりではありません。 日本人が畳を愛するように、ダニも畳が大好きなので、防ダニ対策が必要なのが欠点です。
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