日本語と英語の違いとは?ここでは、翻訳先言語でクリエイティブ・ライティングを行ううえで、押さえておきたい日本語と英語の違いについて掘り下げてみたいと思います。日本語はまろやかに英語は鋭敏にそれぞれの言語の持つ基本的な特徴として、日本語は言語としての違い言語学上の分類では、英語は「インド・ヨーロッパ(印欧)語族」に属しているのに対して、日本語は、どこにも属さない独自の言語「ジャポニック」文法の構造という視点からみると、日本語は「総合的(構成的)言語」 簡単に言えば、単語の語尾が変化するということなのです。日本語では動詞や形容詞なども活用しますね。語尾が変化する言語を「総合的(構成的)言語」と呼び、その中でも語尾変化が比較的規則的であることから「膠」で「接着」したような言語だというわけです。膠着語には日本語の他に、朝鮮語、ウイグル語、トルコ語、モンゴル語などがあげられます。 また、「総合的言語」の中で、その語尾変化が複雑で不規則であり単語本体に溶け込んでしまっているような言語を「屈折言語」 では、英語はどうでしょう?英語の祖先である「インド・ヨーロッパ語」やそこから派生した他の言語のように、英語ももともと「屈折言語」でした。しかし、長い歴史の中でその特徴がどんどん弱まり、現代では3人称単数現在形の動詞 文章構成の違い次にこれは最も翻訳に影響してくる特徴だと言えますが、ただ単に「文章構成」と言うよりも、それは、日本語は主題優勢言語 これまでは、日本語の文法も西洋言語の型に合わせようとして、無理やり「主語」を決定しようとしたり、「主語」がない文は「省略されているだけ」だという考え方をしていた傾向もあったような気がしますが、英語から翻訳して日本語の文章を作るときにも、 発想・心情面での違い民族性や文化面での影響もありますが、日本語が「あいまい」なのは、ものごとをはっきり言うとカドが立つというのか、そういう意味では、高度な婉曲表現が発達している言語だとも言えるでしょう。また、「あいまいさ」と並んで、和歌や俳句に見られるような「簡略表現」も特徴と言えます。こういった特徴は、外部からの侵略がほとんどなく、単一民族のまま存在し続けることを許されてきたという歴史的背景があったからかもしれません。ぼかした表現や略した表現をしても、お互いの気遣いでわかり合えるという背景があったからです。こういった日本語表現のあいまいさは、外国人にとっては非常に理解しづらい点でもあり、コミュニケーションにおける弊害になることもあるようです。 一方、いまや国際語となった「英語」。もとは現在のイギリスに移り住むようになったゲルマン民族の一派アングル人 このように、征服や侵略を全く経験せず、のびのびと育ってきた日本語と、まさに切磋琢磨して形成されてきた英語はその背景からして対照的であり、ここに「あいまい、ぼんやり」と「論理的、明確」といったふたつの言語の特性の違いがあると思われます。 ロジックの違い上でも述べたように、英語が使用されてきたヨーロッパは、常に異民族による侵略や攻撃の危機にさらされていました。その中で、異民族とのコミュニケーションには、まさに生死にかかわる問題であったに違いありません。そこには、日本人のように「ツーと言えばカーと言う」といった言語を超えたコミュニケーションを確立する余裕はありません。はじめに「言葉ありき」で、コミュニケーションには、「言語」(多少のボディー・ランゲージはあるとしても)以外にはないわけです。相手を説得させる技術、そして、伝えたいことを明確に理解し合うため、お互いの共通の土俵として「論理的に話す」ことが不可欠になってきます。その論理(ロジック)というものも、自分たちだけで通用する独自のものではなく、今で言うところの「グローバル・スタンダード」のような普遍的なものでなければならなかったはずです。 それとは対照的に、単一民族であり、意志が通じ合える日本人には、共通のロジックなどというものを発達させる必要性も低かったと言えます。もちろん、歴史的な文書などにも「議論のやりとり」が記録されていたりしますが、欧米の論理のような確立されたロジックはありません。立場が上の人物の言うことが正しい、先例があれば説得できる、極端な場合、声のいちばん大きなものが議論に勝つといった、その場の状況に合わせて変化する「自在変化な理屈」とでも言ったほうがより適切でしょう。 以上のようなことから、当然、日英間の翻訳に関しても「単語単位」や「センテンス単位」での翻訳があまり意味をなさないということがわかります。 |