翻訳に基づいた「通弁」クリエイティブ・ライティング

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さまざまな制作物のクリエイティブ・ライティング

制作物ごとのクリエイティブ・ライティング

翻訳をベースとしたライティングを必要とする制作物は、その用途によって、情報の性格、書き方や文章スタイルなどが異なります。

以下は、代表的な制作物の位置づけをマッピングしたものです(実際は、訴求する商品やサービス、あるいは業界によって若干ばらつきがあります)。

制作物ごとのクリエイティブ・ライティング

ハードな内容とソフトな内容

ひとくくりで「制作物」と呼んでいますが、大きく「ハード」と「ソフト」という方向性があります。

たとえば、「ハード」なものとは、技術資料や説明書など商品の仕様や使い方を伝える内容のものであり、「ソフト」なものとは、商品を使うことで得られるユーザーにとってのメリットを訴求したり、ライフスタイルを提案する広告や情報誌などがあげられます。そして、その中間に位置するのがカタログなどの販促物、会社案内などの制作物になります。

ハードな内容のものは専門度も高く読者層もかぎられますが、ソフトなものになると一般性が高くなり、より広い読者を対象とすることになります。前者では表現的な技巧や創造性は必要とされないため、文章のスタイルも簡潔であることが要求されます。

それに対して、後者では、より親しみやすく口語的になる傾向があります。商品やサービスに対する感動やよい印象を与えることが必要ですので、インパクトのあるキャッチフレーズや感性に訴える表現が求められます。

正確さのためのクリエイティブ・ライティング

技術的な内容の制作物では、いかに正確に読みやすい文章にするかがポイントです。たとえば、日本語の原文では問題なくすんなり頭に入ってくる文章であっても、そのまま英語にすると不明瞭な文章になることがよくあります。

いわゆる「創造性」という意味のクリエイティブ要素はほとんどありませんが、いかに正確にわかりやすく表現するかという意味では発想・思考面での創意工夫が必要とされます。たとえば、専門知識と照らし合わせて、日本語で表現されていない部分を補ったり、並列で表現されている文章のコンポーネンツにヒエラルキー(親子関係)を持たせ構造化した表現をすることで、英語らしく読んでいてストレスのない文章に仕上げていきます。

クリエイティブのためのクリエイティブ・ライティング

上の図であげたような広告や販促物を制作する業界のことを「クリエイティブ業界」とも呼んでいますが、(詳しくは、コラム 「クリエイティブ業界とは?」を参照ください)基本的に「モノを売る」ためのサービスを行うマーケティング業界だと言うことができます。

よって、いかに効果的に伝え、購買に導くかがカギになります。つまり、注意 (Attention) をひき、興味 (Interest) を持ってもらい、購買意欲 (Desire) を起こさせ、記憶 (Memory) してもらい、行動 (Action) へと誘うというわけです。

たとえば、原文でインパクトのあるキャッチフレーズや本文も、そのまま翻訳したのでは普通の文章に終わってしまいます。たとえセンテンスを短くしてびっくりマーク「!」をつけて表現したところで、その表現自体が「何が言いたいのかわからない」とか「確かにすごい」と感じさせる表現になっていなければ意味がありません。

また、アテンション喚起や記憶してもらうためのキャッチフレーズが長たらしい文章であるとか、読み進んでもらうためのリードコピー(導入の文章)が説明調の退屈な文章であったりすると、めざすべき目的の達成はとうてい望めません。

ターゲットとなる市場や言語の特性が異なるため、ときには原文の表現発想やレトリックから変えてしまわなければならないこともあり、技巧や創作的な要素が必要とされます。