「読まない」という選択肢のあるコンテンツのライティング情報氾濫時代の今日この頃、私たちのまわりには大きく分けて2種類の「書かれた情報」(読み物)があります。つまり、
それに対して、後者のほうは、郵便ポストに入っているチラシやDM、広告の文言やメール、(仕事・学習などでとくに必要とされていない)ビジネスサイトをはじめとする各種ウェブサイトやブログの文章、新聞・雑誌、書籍などがこれに当たります。 読まなくてもいいものは読んでもらえない日々時間に追われ、情報の洪水の中でおぼれそうになって生きている私たちにとって、いかに情報を取捨選択していくかが求められます。どうしても読まなければならない情報は、内容が面白くなくても、文章が読みにくくても、ここはひとつ我慢して読むしかありません。ところが、とくに読まなくてもいい情報であれば、最初から振り向いてももらえない場合もあります。たとえ内容も面白く、読みやすく良い文章で書かれていても手に取ってもらえなければ意味がないのですが、こればかりはしかたがありません。 しかし、こういう場合はどうでしょう。読まなければならない情報ではないが、たまたま興味があることがあり、インターネットで検索してあるサイトを見つけたとします。読み始めてみたが、「なんだか読みにくくて説明もわかりにくい」ということになると、もともと読まなければならないものではないので、「やーめた」ということにもなりかねません。また、ネット上には、類似のサイトもたくさんあります。もっと読みやすい別のサイトに移動してしまうかもしれません。 せっかく、数多くのサイトから見つけてもらったのに非常に残念ですよね。でも実は、こういうサイトはけっこうあります。とくに、翻訳をベースとしたものに多く見られる傾向です。「読みにくい、読む気がしない」というのは、ある程度個人差はあると思いますが、いかにも「英語から日本語に翻訳しました」という翻訳の臭いのする記事などもその一部です。 タイトルを見て「面白そうだ」と思って読んでみると、律儀な優等生翻訳調になっていて肩の凝る文章になっていたり、読んでいてなんとなく違和感があったりで、これなら英語の原文を読んだほうがいいなということにもなりかねません(原文を探すのも大変ですが)。 読まなくていいものを読んでもらうにはとくにビジネス関連のサイトでは、「読んでもらえない」というのではそれこそビジネスにつながりません。せっかく原文ではプロのコピーライターに依頼し、完成度の高いコピーになっているのに、英語版(原文が英語の場合は日本語版)は普通に翻訳して、担当者が間違っていないか内容のチェックをして終わりという場合が多いようです。その背景には、原文でしっかりしたライティングができているのだから、 その理由は「つつがなき翻訳」が伝わらない理由で説明していますのでここでは言及しませんが、日本語と英語というまったく異なる言語間では、単語レベルの置き換えができないため、一から文章を組み立てていかなければなりません。よって、どの情報をどういう順番で持ってくるといった「情報展開の構造」は受け継ぐことができても、文章自体の良し悪しは、すべて翻訳先のライターのスキルによって決まるわけです。 つまり、読まなければならない文章ももちろんそうですが、「読まない」という選択肢のある文章こそ、読んでもらうための表現の工夫が必要になってきます。 その「工夫」としては、ターゲットやメディアの選別からテーマの選び方、起承転結といったパラグラフ構造、文章のトーン、センテンスの組み合わせ方など、さまざまな要素がありますが、まず最低条件として ということが言えるでしょう。 |