「通弁」クリエイティブ翻訳

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なぜそんな翻訳になってしまうのか?

まずい翻訳の原因

「翻訳」に問題意識をお持ちの方へで「不満の残る翻訳成果物」について述べましたが、ではなぜ、そんなまずい翻訳になってしまうのでしょうか?それには、以下のような要因があげられます。

1. 翻訳に対する問題意識の不足
2. 翻訳者の文章表現力がない
3. 翻訳者の文章読解力がない
4. 翻訳者の専門知識がない
5. 原文自体がわかりにくい
6. 日英の言語の構造の違い
7. 日英言語の表現文化の違い
8. 時間、料金的な制約


では、それぞれの要因について簡単に説明しましょう。

翻訳に対する問題意識の不足

まず、翻訳に対する世の中の問題意識の低さや関心のなさ、あるいは、間違った認識などが「まずい翻訳」を助長しているとも言えるでしょう。つまり、依頼する側に問題意識がないため、安ければいい、縦のものが横になっていればいい(日本語から英語への場合)といった風潮が見られます。なかには、あたかも機械的にアナログからデジタルに変換するような感覚で翻訳を捉えている人もいたります。ある程度のスキルを保有し、プロ意識を持って仕事をしている翻訳者にとっては、できれば受注したくないと思うのがこういった意識に基づく案件です。詳しくは、コラム 外国語が話せれば翻訳ができるのか?をご覧ください。

翻訳者の文章表現力がない

翻訳者の文章表現力の不足というのも「まずい翻訳」の1つです。「翻訳」に問題意識をお持ちの方へでも述べていますが、「翻訳」は「書かれたもの」であるため、文章表現力の欠如は致命的です。たとえ原文の意味をよく理解していたとしても表現できなければ伝わりません。また、「文章は下手だが言いたいことはわかる」というケースもあるかもしれませんが、公式の印刷物や文書として流通する場合、それなりの洗練さやふさわしさが要求されます。「言いたいことがわかる」とはいえ、小学生の書くような稚拙な文章や、見るからに外国人が書いたと思われるようなぎこちない表現では読んでもらえないかもしれません。

翻訳者の文章読解力がない

翻訳元の言語をどれだけ深く読み取ることができるかというのも必要不可欠な条件です。これは、翻訳者にとって翻訳元の言語が母国語であるかないかによっても異なりますが、たとえアウトプット言語(翻訳先の言語)表現が得意であったとしても、原文が正しくしっかりと読み取れていなければ誤訳につながります。最近の翻訳業界では、英語への翻訳なら英語のネイティブに、日本語への翻訳なら日本人に翻訳をさせるという傾向がありますが、場合によっては、必ずしも良いやり方とは思えません。詳しくは、コラム ネイティブがやれば良い翻訳なのか?を参照ください。

翻訳者の専門知識がない

翻訳者にその業界や商品に関するある程度の知識がなければ良い文章は作成できません。結局、直訳せざるを得なくなり、自然な翻訳文にならない、意訳するとかえって誤訳になるというジレンマがあります。とはいえ、翻訳者が依頼側の担当者と同等の専門知識を持つのは不可能です。外国語や表現の研鑚に努めなければならないため、その部分に多くの時間をかける余裕がないのも現状です。しかし、基本的な知識を持つことで「勘」も働くようになり、調査のためのノウハウも身についてきます。また、依頼者側も「翻訳のチェックに時間を割きたくない」というのではなく、いっしょに良いものを作り上げていこうという意識が大切です。

原文自体がわかりにくい

これは翻訳以前の問題ですが、文章がわかりにくい、内容的な矛盾がある、曖昧な表現が多いなど、原文自体に問題がある場合は、当然のことながら翻訳文もまずいものになってしまう可能性が大きくなります。原文を作成する担当者側にも、「翻訳は適当に訳してくれ」というのではなく、良い翻訳になるための原文作りという認識が必要だと思われます。詳しくは、コラム 良い翻訳のための良い原文とは?を参照ください。

日英の言語の構造の違い

翻訳臭い文章、ぎこちない表現、不自然で違和感のある表現につながるのが、翻訳元と翻訳先の言語の違いについての認識の低さです。「そりゃ別の言語だから違うだろう」といった浅い認識ではなく、語順、文章の構造、辞書に載っている単語の意味は「近似値」でしかないという明確な認識を持つことが大切です。この認識がないと、翻訳元の文章構造や段落構造に引きずられてしまいます。また、翻訳するほうも翻訳をチェックするほうも、翻訳元の文章構造や段落構造に沿った翻訳が忠実で正しい翻訳であると思い込んでいる場合もあります。その結果、不自然で読みにくい、理解するのに余分なエネルギーがかかる文章が出現します。詳しくは、日本語と英語の違いとは?で説明しています。

日英言語の表現文化の違い

翻訳元と翻訳先の言語表現の文化の違いも、翻訳臭さやぎこちなさ、不自然で違和感のある表現の原因となります。これは、「英語はダイレクトな表現を好み、日本語はあいまいな表現をする」といった標準化された傾向以外にも、「英語ではそんな言い方はしない」といった場合ごとの傾向もあります。結局は、翻訳者個人の知識や経験によるところが多く、感覚的に処理するしかないこともあります。しかし、言語間の標準的な違いはそれとして認識しておく必要があります。詳しくは、日本語と英語の違いとは?を参照ください。

時間、料金的な制約

翻訳料金については、コラム 翻訳の適正な料金とは?で考察していますが、料金があまりにも安い場合も、当然のことながら、良い成果物は得られません。スキルのある翻訳者はより良い条件の仕事を獲得しようし、良いものができないと判断した場合は仕事を請けないはずです。その結果、よりスキルの低い翻訳者に仕事が流れることになります。また、翻訳日数が少なすぎる場合も、質の高い翻訳を完成させることは不可能です。翻訳ソフトなどの技術的な方法は、翻訳作業の効率化にはつながりますが、翻訳そのものを代替できるまでのレベルではありません。つまり、翻訳者が一日に処理できる分量には限りがあり、物理的に無理だと判断した翻訳者は仕事を請けませんが、問題意識の低い依頼者や翻訳者の間で、自動翻訳ソフトを駆使した意味不明の成果物がやりとりされる場合があります。

以上、「まずい」翻訳になってしまう原因を挙げてみました。こういった原因は、それぞれ独立して存在しているのではなく、相互作用することで「まずい」翻訳の連鎖を作り上げていると言えるでしょう。