新英語時代へ―― (2)変化にまつわるミステリー(続き)次に古ノルド語古ノルド語の影響8世紀のヴァイキング時代お互いに語尾変化のある言語同士が出会ったのに、どうして、語尾変化を失うという結果になったのか?これは非常に興味深い疑問ですね。なぜ語尾変化がなくなったのでしょうか? それは、おそらくコミュニケーションするうえで、それぞれに変化する語尾の違いが混乱を与えたのではないかと言われています。単語自体が似ているだけに始末が悪いですね。デーン人とアングロ・サクソン人が話をしてみると、「いとこ同士」の言語であるだけにけっこう通じるわけです。でも「語尾変化」が微妙に違うので、誤解や摩擦の原因になったとも考えられるわけです。 これを強引に日本語の世界で表現してみると、単語の語尾変化というのは、意味的には日本語の「てにをは」になぞらえることができますので、以下のような展開も決して不可能ではありません(架空)。ちなみにデーン人は、アングロ・サクソン人とのコミュニケーションに熱心だったが、語尾の発音が苦手だったという説もあるようで…
といった感じで、同じような語尾があったが意味が違うということもあったかもしれません。そんなわけで、話がついたはずなのに、後になって、アングロ・サクソン人:「話が違うじゃねえか、この大ウソつき!」なんてことになるのです。単語自体は似ているので「アプル」と「エプル」は「リンゴ」、「ギブ」と「ギベ」は「与える」という意味は通じます。しかし、「が」と「に」があいまいだったらどうなるかですね。おそらく両者とも都合のいいほうに解釈するかもしれません。ということで…
てなことになったのかもしれませんね(ちょっと言葉使いが荒いですが、なんといってもヴァイキングですから)。 以上の2つ説のうち、おそらく「古ノルド語の影響」のほうが可能性としてはありそうですね。事実、その他の変化も含めると、「古ノルド語」の影響が最も大きいと言えるでしょう。とはいえ、英語の文章構造など「ケルト語の影響」も全くなかったとは言えないようです。 |