日本人は英語がヘタ?中学、高校、大学と勉強していながら話せないのはなぜ?通訳付けないと日常会話もできない首脳は日本だけ?ともあれ英語は世界語になることは間違いなさそう。ここでは「日本人が英語が苦手なわけ」を分析してみたいと思います。


Last update May 23, 2019

出しゃばりすぎる母? (4)

母なる音からの自立宣言!

以上のようなことから、次のような仮説を導き出すことができます。

 英語の音の骨組みは子音で成り立っている
 日本人は母音を聴こうとしすぎるから聴き取れない

前のページでも述べましたが、しょせん英語の母音なんて、国や地域によって変化するものであり、アクセントのない音節では弱くなり、強弱のリズムのなかで省略すらされる傾向にある存在です。

そんな移ろいやすいものに頼ってしまうわけにはいきませんよね。もちろん、全く無視するわけにはいきませんが、日本人はどうしても母音に依ってしまう傾向があるということです(ここら辺は、日本人の脳とも関係ありそうですが、これについてはまたテーマとして取り上げてみたいと思います)。そんなあいまいな存在を処理しようとしているうちに、音の流れは待ってくれずどんどん先に進んでしまう=追いつけない状態になるのです。

では、どうすればいいのか?――残念ながら、そういった傾向やクセは変えることはできませんので、「これだ!」という抜本的な解決策は(今のところ)ないと思われます。

しかし、英語を聴くときの心構えはできそうです。それは…

「できるだけ母音にとらわれず、子音を追うようにする」

ということです。単なる精神論かもしれませんが、それでも、そういう意識で英語の音に対応するだけでも何かが違ってくるかもしれません。





子音をもっと楽しもう!

「母音」にとらわれず「子音」を追うということは、What did you have for breakfast?Wht dd y hv fr brkfst? として聴こうとすることであり、これで意味が取れれば、「母音」の情報を処理する必要がないため、理解するスピードも速くなるはずですね。

また、ざっくり骨組みをつかもうとすることになりますから、「木」より「森」を見ることにつながり、トップダウン的な発想をする余裕が生まれるのではないかと思うのです。1つ1つの細部を積み重ねて全体をつかもうとする「ボトムアップ」的理解では、書かれたものを読むにはいいかもしれませんが、瞬間に流れる情報をつかむには時間がかかりすぎます。脈絡や前後のつながりに、子音だけでつかんだ音の骨組みと照らし合わせて、「こういうことを話しているだろう」というトップダウン的な理解法が必要になってくるわけです。

もちろん、こういった理解のしくみや発想は、すべて脳の働きによるものであり、実際にそれがどう働くのかはわかりません。ですから、ここで述べていることは、単なる机上の理論にすぎないかもしれません。

しかし、1つだけ言えることは、日本人は「子音」が苦手だということです。だからこそ、それを克服するためには、もっと「子音の世界」を楽しめばいいのではないかということです。

つまり、「子音」の音の塊をそのまま受け取るというわけです。

「子音」の音というのは、「母音」の支えがなければ認識しにくいのは事実です。[g] の音なのか、[k] なのか、はたまた [b] なのか [p] なのか、その音だけで判断するのは至難のわざで、それ自体があまり心地よい体験ではないかもしれません。

ところが、その後に「母音」が続くと、声帯も震え音が伸びますので、前についている「子音」の音もわかりやすくなります。「子音」だけを聴くのは、そういう意味で落ち着かず、「母音」が入ると安定感がある…。

でも、そのコンフォートゾーンから抜け出す必要があるわけです。外国語の音に触れることは、必ずしも「母音」の支えがあるとは限らない「子音」の海へ飛び込むことだとも言えます。その音がはっきり認識できなくてもいい。「ガタガタ」とか「グラグラ」などと文字にできなくてもいいのです。むしろ、文字にしようとしないことです。そこに飛び込み浸ってみる。そうすることで、音の洪水にも慣れてくるはずです。

そうすれば、頭の動きにも余裕が出てきて、脈絡や情景を含むいろんな情報と組み合わせて、耳からの理解が促進されるはずだと思うのです。

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