知恵と洞察力で学ぶさて、では、熟年層としての英語の勉強法は?ということになりますが、何しろ中学校のころから英語はからっきしダメで、参考書を暗記して試験に備えました、という方ならやはり中学校レベルはいちおうクリアしておく必要があります。子供や孫の教科書のお下がりでもいいですから、ひも解いてみます。文字通りまず、日常使われるカンタンな単語を覚えましょう。もちろん、意味だけでなく発音も大切です。この場合、電子辞書やインターネットの辞書を使用することをお勧めします。インターネット上には各種英語のオンライン辞書があり、ちゃんと発音ボタンもついています。 電子辞書やオンライン辞書の発音ボタンを使って発音を聞きます。そして、そのとおりに真似をしてみます。とはいえ、熟年ともなると幼い子供が純真に真似をするというわけにはいきません。経験や知恵がついた分、全くの無垢の状態にはなれません。 初心レベルからスタートという方は、ネイティブのような発音でなくても、 また、ビジネスや人とのお付き合いのなかで、相手の人物なりを見極める、言葉の裏にある「ホンネ」を感じ取るといったことは、熟年世代にとっては、まさに世渡りの技。英語の学習においても、そういった知恵や洞察力をフルに活用することが大切だと思われます。ひとつの単語に接する場合も、人に向き合う場合と同じような態度でのぞむわけです。 辞書の説明にざーっと目を通しながら、洞察力を働かせて、これはどんな性格の、どんな顔の言葉なのかということをつかむのです。生まれは(語源)はどこなのか?今どういう暮らし(実際の用法)をしているのか、といったことをゲーム感覚で想像してみます。英語の上達に比例して、より深いものが見えてくるのではないかと思います。日本語に当てはめると、あの言葉とこの言葉を合わせたような意味があるとか、この日本語にぴったりの表現であるとか、日本語に対する理解の深さがあれば、英語のニュアンスの深さも理解できるというものです。 こうして語彙がだんだん増えてきたところで、文法も少しやっておきます。 日本では文法ばかり教えるから英語の上達がないんだ、などと文法を軽視する向きもありますが、それは間違いです。文法は文章を作るときのルールですから、文法の知識がなければきちんとした文章は話せません。それこそ、赤ちゃん言葉で終わってしまいます。カタコト英語も愛嬌かもしれませんが、本気で英語を勉強したいというのであれば、文法は必要です。 第一、この年になって、幼児のような話し方では、相手に「親しみ」を感じてもらえたとしても、尊敬はしてもらえません。よく、福祉の場などで、看護に当たる人がお年寄りに対して、優しいのはいいんですが、まるで幼児に話しかけているような話し方が問題になることもあります。やはり、それなりの人生の先輩としてごくあたり前の「尊敬」というものを感じさせないようでは悲しいものがありますね。 かといって、「英文法集成」などといった学術的な書物に取り組む必要もありません(好きな人は別ですが)。文章の成り立ちということで理解することが大切です。まず、日本語と英語の文章構造は違うのだということを頭に置いたうえで、英語では、主語が来て、次に動詞、その次に関連する言葉が来るという大まかな理解で十分です。 たとえば、 語彙も増えて、文法もわかってきたところで、実用英語の領域に入ります。会社勤めの方ならば、自社で作っている製品などの英文カタログを読んでみるというのもひとつです。自分が営業で売っている商品名や特長などがどのように英語表現されているかがわかり、新たな愛着も湧いてくるでしょう。また、英語のドラマや映画を観るのもいいでしょう。 これは実験ですが、まず、字幕を見ずに英語だけでどこまで理解できるか試してみましょう。もちろん、全部理解する必要はありません。覚えた語彙や表現を総動員して、場面や人物の表情などを見ながら、どういうシチュエーションで、どんな展開が起こっているのかを洞察力で判断してみます。つまり、「観察力」や「洞察力」の訓練をするわけです。 あるいは、英語のことわざコレクションという趣味もいいですね。辞書などの付録についていることわざを集めて、じっくり研究してみましょう。ことわざは、その文化圏における長い歴史や考え方によって培われた「知恵の宝庫」、深さの違いが出てくる分野です。こういったことを繰り返しながら、少しずつ上達してくるはずです。10年も立てば、それなりの「英語使い」になっていることでしょう。 長年の勘や知恵、洞察力をもって英語に挑む。日々黙々と坦々と。動かざること山のごとし(??)、まさに今が人生のクライマックス。柔軟なこころで知識を取り入れ、深く洞察して、知恵とする。おおらかさと優しさをもって、大いなる無限の「精神体」をめざして、「精神で鍛える英語学習」にチャレンジしてください。 |