「名詞を特定する用法」における「文脈外参照――エクソフォリックな用法(Exophora)」
Te espero en el bar.
(バルで待ってるよ。) →聞き手との間で暗黙の了解(あるいは行きつけの)バルがある。→よって、el bar は特定されている。
想像・連想することで脈絡と名詞の関係が納得できる
Acaban de llegar a Madrid. El avión llegó cinco horas tarde.
(彼らはやっとマドリードに着いた。飛行機が5時間も遅れた。) →マドリードにやってきたのは「飛行機で来たんだな」と納得。→よって、el avión は特定されている。
Era un buen restaurante, pero el aperitivo era un poco picante.
(いいレストランだったが、前菜がちょっと辛かった。) →そのレストランで「前菜が出たんだな」と納得。→よって、el aperitivo は特定されている。
Llegamos a un pueblo. La iglesia estaba en una colina.
(ある小さな村に着いた。教会が丘の上に立っていた。) →その村には(にも)「教会があったんだな」と納得。→よって、la iglesia は特定されている。
具体的に誰が(どれが)というのではないがその機能や役割を問題にする用法
¿Ha venido ya el cartero?
(もう郵便屋さんは来たの?) →どの郵便配達人かということよりも「郵便配達」という機能を問題にしている。→el cartero は機能を表し、その脈絡・状況において特定されている。
Tan pronto como llegamos allí, hicimos compras en el supermercado.
(そこに着いてすぐスーパーで買い物をした。) →どのスーパーかということは問題ではなく(どこでもいい)「スーパー」という機能を問題にしている。→el supermercado は機能を表し、その脈絡・状況において特定されている。
修飾する語によってゆるく限定する用法 Las flores de nuestro jardín están en plena floración.
(うちの庭の花は満開だ。) →「うちの庭の花」をまとめて限定すると考えてもいいが、「うちの庭」という修飾語にゆるく限定されていると考えられる。→unos ではなく las であるため、「うちの庭」にある花はすべて満開だということにもなるが、実際に100%満開かどうかというのは問題ではなく(それを調べるわけでもなく)、「おおかた満開と言ってもいいだろう」くらいの意味合いがある。
Podíamos respirar los aires del campo.
(田舎の空気を満喫することができた。) →同じく「田舎の空気」をまとめて限定すると考えてもいいが、「田舎」という修飾語にゆるく限定されていると考えられる。→田舎の空気の種類がどれだけあるというような具体的なことを問題にするのではなく、「田舎は空気がいいが、そういった田舎の空気」をざっくりと指している。