スペイン語文法ノート 英語のように「be 動詞+過去分詞」で「受身」の出来上がり―というのもいいのですが、言語が違えば考え方も異なります。やはり、情熱の言語というわけか、そもそも「受動態」といった消極的(?)な言い回しを好まないスペイン語。その受動態のカタチとは?




スペイン語の中間態1

Última actualización: 12 de junio 2018


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能動態と受動態の間のグレーゾーン

スペイン語の能動態 (voz activa) と受動態 (voz pasiva) について見てきましたが、世の中の物事というのは、デジタル表現のように「1 か 0 か」の 2つの選択肢のうちどちらかに必ず当てはまるというものではなく、両極の概念があれば必ずその中間のグレーゾーンが存在するものです。文法の世界においても、能動態でもなく受動態でもない、その中間にある「中間態」(voz media)というものが存在するというわけです。

ただし、必ずしも「これが中間態だ」という文型があるわけではないため、「能動態」と「受動態」という2つの分類のなかに統合されているだけに他なりません。

スペイン語においても、受身表現同様、「この文章構造になれば必ず中間態だ」という唯一定まった形はないので、文法的にもカテゴリーとして認知することが困難だと言えるでしょう。そういうことから、スペイン語には「中間態はない」という文法学者もおり、またしても「あるような、ないような」というのがスペイン語の中間態ということになってしまいます。受動態だけではなく中間態もないのかあるのか、はっきりしないというのでは、一体スペイン語はどうなっているのか?と頭をかしげてしまうところです。

これは、、スペイン語の受動態の考え方歴史的考察でも述べましたが、「線引き」の問題で、行動主に視点があるものが「能動態」で行動主から視点がそれたものが「非能動態」という区分けをしておけば理解しやすいと思われます。そして、この「非能動態」の区分のなかに、中間態と受動態が含まれているというわけです。


言いかえれば、非能動態から「受身」を除いた残りが「中間態」であるとざっくり位置づけることが可能です。中間態に対して神経質になる必要はありませんが、この概念を頭に入れておくことで、三人称再帰代名詞se を使った用法などがより理解しやすくなると思われます。