話者の視点の変化
スペイン語の受動態の考え方において、スペイン語は能動的な表現を好む言語であるということ、また、スペイン語の受身形には「
ser/estar +過去分詞」を使った迂言的受身 (
pasiva perifrástica) と三人称代名詞の
se を使った再帰的受身 (
pasiva refleja) があるということを説明しました。さらに、迂言的受身はあまり好まれないということも述べましたが、かといって、まったく使われないということではありません。では、実際に、スペイン語では、どういう場合に、どのように受身形を使用するのかを見てみたいと思います。
まず、前提として、
行動主が明確な場合
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能動態
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行動主と受動主の重み付けを入れ替える場合
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迂言的受身
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行動主をあいまいにしたい場合
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再帰的受身
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行動主がわからない場合
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再帰的受身
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受動主に焦点が当たっている場合
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→
迂言的受身
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という図式が成り立つと言えます。
スペイン語の受動態の考え方で挙げた例に当てはめて考えると、以下のような図に置き換えることができます。つまり、2つの受身形である迂言的受身と再帰的受身は、どんな場合にも、同じように使用できるものではなく、それぞれの用途が決まっているということなのです。
以下、それぞれの用法について詳しく見てみることにしましょう。