再帰表現をする動詞
「自分を洗う」、「自分の~を洗う」など、
lavar 「洗う」という動作を中心に再帰表現について見てきましたが、どんな動詞でも再帰表現ができるというわけではありません。「洗う」の他にも、「着る」や「入浴する」など、衣服や身体に関する動詞がよく再帰表現に使われます。
また、そのような動詞を「再帰動詞 (
verbo reflexivo)」と呼ぶこともありますが、厳密には、こういった名称の動詞が文法のカテゴリーとして存在するのではなく、一部の代名動詞を使って再帰表現が可能であるという理解したほうが適切だと思われます。
afeitarse |
ひげを剃る |
bañarse |
入浴する |
ducharse |
シャワーを浴びる |
peinarse |
髪をとかす |
ponerse |
身につける |
vestirse |
服を着る |
*levantarse |
起き上がる |
*sentarse |
座る |
また、最後の
levantarse, sentarse (この他にもあります)ですが、文法書などでは「再帰動詞」として紹介されている場合がよくあります。「自分自身を起こす
→起きる」、「自分自身を座らせる
→座る」という考え方から「再帰」であるという理屈ですが、これは、厳密には、「再帰表現」ではなく、他動詞を自動詞化した用法だと考えるべきだという意見もあります。
スペイン人の発想では、「自分自身を起こす」とか「座らせる」ということはできないという考え方があるようです。幽体離脱でもしない限り、自分が自分を立ち上がらせたり、動かしたりするのは物理的に不可能だということなのかもしれません。
しかしながら、スペイン語で書かれた外国人向けの教材などでも「再帰動詞」として扱っている事例が多く見られます。これには、教える内容を簡単にしたいという意図もあるのかもしれませんが、こういった傾向に対しての反論もあるようです。
いずれにしろ、こういった「分類」に対してあまり神経質になる必要はありませんが、専門的な見解としては、内的再帰 (
reflexivo interno) や擬似再帰 (
cuasi-reflexivo) などといった名称によって
lavarse などの再帰表現とは区別する傾向もあるようです。