1か月半ぶりに帰った実家に棲むモノが…!

最初に言っておくが、両親はもう他界していない。だから、実家に帰ってもいない。いればそれは幽霊なんてことになりかなり怖い。なおかつ、兄弟がたまたま帰省していたということでもない。ちなみに、兄弟は若干2名ほどいることはいるが、むしろ「いない」としておいたほうが妥当だろう。

じゃあ一体何が…?ということになるが、ずばりそれは、人間ではなく動物である。動物は動物でも「害獣」と呼ばれるものである。

今日からまた二拠点生活・田舎編が始まるということで、はるばる京都から繰り出し、必要なものや食料品などを買い込んで実家に到着。風通しや簡単な掃除などを終えて一息いれようとしたそのとき、玄関のほうでガラゴロガッチャンピン!という音。

「さてはさっそく来たな」

言わずと知れた天井裏の訪問者、すなわち「害獣」である。田舎の古い家ならある程度は覚悟しなければならない。さっそく、いつもの3点セットの出番だ(写真)。

ごらんの通り、100円均一で買ったステッキ、蚊取り線香の空き缶、そして、蚊取り線香である。

害獣撃退3点セット

ということで、まずここで、一句詠んでおこう。

缶たたき 天井つつき 線香焚く

まず、ステッキで蚊取り線香の空き缶をカンカン叩きながら、天井裏のケモノを下から追いかけ回す。そして、時おり、獣のいる位置を下からステッキでつつく。さらに、大きな声で「こるら(ここ巻き舌)!出ていけ!」と威嚇したり、「ここは人間の住処じゃ!おまいらの来るとこちゃう!おまいら、野生のもんがこんなとこに来たらあかん!」などと理性に訴えてみたりもする(ま、通じるわけはないが)。

これを見ていた配偶者が

「大丈夫?頭おかしくなってない?」

などと言うが、それは2、3日しかいなくてもいい人間の言うことで、ケモノを相手にするには正気の沙汰では間に合わないのだ。それに、実家は一軒家なので誰に迷惑をかけることもない。

話を戻そう。缶たたきと天井つつき、これで気の弱い獣なら「ギャッ」などと言って逃げていく。

しかし、世の中そんなに甘くはないもので、それしきでは出て行かないことがほとんどだ。そういうときは

「そうか。そう来るか。仕方ない、次はこれだ!」

ここで登場するのが「蚊取り線香」だ。ちなみに、天井裏に直接設置するのは火事になる可能性もあり危ないので、下から炊く。と言うより、うちの実家は古いのでどこに天井裏へアクセスがあるかがわからない(わかっている者はすでにこの世にいない)。天井裏でバルサン炊いたり、パラゾールなんかを投げ込むのが一番いいのだが、いかんせん、天井裏への点検口がわからないため、下から対処するしかないのだ。

蚊取り線香作戦は、誰かがYouTubeで紹介してくれていたのを参考にして、線香を折って数か所に火をつけたものを数個設置する。そうするとかなり煙たくなる。人間にとってもかなり煙たい。煙は上方向へと上がっていくので、ヤツらにとってはもっと煙たいはずだ。しかも、嗅覚はかなり優れているので「もうこんなとこ、いてられへん!」となるわけであった。

その代わり、人間にとっては、家じゅうがケムケムするし、部屋干しの洗濯物ももれなく蚊取り線香を焚き染めることになる。というわけで

線香は せめてアロマで リラックス

リラックスできるかどうかは疑わしいが、ともかく、人間のほうも、かなりの苦痛を強いられるわけだから、せめて香り付きの蚊取り線香にしたいものだ。心の持ちようによっては「アロマテラピー」(ちょっと無理か?)になるかもしれないし、「よし、今日はバラの香りで行くぞ」など、プロセスを楽しむ(?)こともできる。

ということで、これまでのケースであれば、たいていこれで対処できた。ところが…

今度のヤツは違う!

線香も 缶も杖も なんのその

3点セットがまったく効かないのである。

しかも、これまでのような「ソロ訪問」ではない。数匹いるのである。

しかも、足取りも「トン、トン、トン」といった軽やかなものではなく、ドン、ドシン、ドスンと重い。それが1か所ではなく、数か所で聞こえる。「歩く」というより「飛んだり跳ねたり」しているではないか!

ドッスン、バッタン、ガターン、ドッシン…

「な、なんだ、これは!」

「やめてくれ!天井が抜ける!」

「正直怖い。こいつら一体何なんだ?!」

止むことを知らないような騒音は、夜になっても夜中になっても続く。

朝も早かったし、正直疲れている。ぐっすりと休みたいのに、寝室にしている二階の押入れの天井にまで上がってきてドッタンバッタンやっている。

つらつらと眠りに入ろうとすると、またしても、ドッスーン!バッターン!

「一体何をしているのか!おまいらは!」

「もうちょっと静かにできんのか!寝させてくれい!」

その願いも空しく、一睡もできないうちに夜が明ける。夜が明けても相変わらずドッスンバッタンしているヤツら。害獣は夜行性だったはずだが、朝になってもまだ元気だ。

こっちは、一睡もせずに今日一日の作業やらもろもろの予定をこなさなければならないというのに…。ああ…。

つづく…。

PartiallyCranky60

生まれ故郷の田舎に戻り、土まみれになりながら実家の管理をしてしばらく暮らす。そして京都に戻り仕事や自分のメンテナンスをするという二拠点生活が定着してきた。あっという間に1か月過ぎ、1年が過ぎる。忙しい。とにかく忙しい。退屈しているヒマもない。綱渡りのような生活。大変だが、スリルがあるとも言える。もっと時間が欲しい。