この謎を解く前に、その情熱的すぎる愛ゆえに罰を受けたカップルの話をしましょう。笹の葉飾りの謎とは直接関係ないのですが、七夕の伝説としてあまりにも有名な話なので無視することはできませんね。 昔々のこと、「織姫」という名の機織りの上手な働き者のお姫様がいました。姫が年頃になったので、父である天帝は織姫に婿を見つけてやりました。名前を「彦星」と言う、働き者の牛飼いでした。ところが二人は、あまりにも愛し合ったために、それぞれ機織りと牛飼いという仕事をしなくなりました。国の人々は困り果てます。そこで天帝は、とうとう二人をそれぞれ天の川の反対側に引き離し、年に一度(7月7日)しか会えないようにしてしまったということです。 まず、笹の木について考えてみましょう。ご存じの通り、笹と言えばパンダの健康食ですが、パンダだけではなく、人間にとってもいろんな意味で役に立つ植物なのです。もちろん、食べたりはしませんが、殺菌作用があるため、腐りやすい食べ物を保存するのに使われることも多く、たとえば、ご先祖に捧げるお供えの下に笹の葉を敷くこともありました。また、生命力が強いので神聖な植物とされ、宗教的な儀式でも使われてきました。実際に、お盆の行事に使われることも多く、これが七夕飾りの起源とも言われています。ちなみに、7月7日と言えば、日本の旧暦でお盆の時期に当たっていました。 次に、なぜ願い事が書かれた紙を吊るすのかですね。日本の風習には中国から来たものが多いですが、この七夕と願い事を書く習慣もそうです(奈良時代にもたらされました)。細長い小さな紙(「短冊」)に願い事を書くというのは、梶の木の葉に歌を書いて芸の上達を願った「乞巧奠」という行事から来ています。 日本では、七夕は子供のころの懐かしい思い出だという人も多いようですが、最近では七夕を祝うこともないので、なおさらそう感じるのかもしれません。忙しすぎてそんな暇はないのかもしれません。でも、手ごろな笹の木を手に入れて、色とりどりの紙飾りを切り抜き、短冊に願い事を書き、ドアや窓に飾って七夕を祝ってみるのも、これからやってくる暑苦しい夏の日を乗り切るための殊勝な心がけかもしれません。 |