古英語期(450~1100)(Old English) (1)
英語史の幕開け
北方系ゲルマン民族であるデーン人 (Danes) の侵略によって故郷を追われたサクソン人 (Saxons)、アングル人 (Angles)、ジュート人 (Jutes) は、ローマの撤退とともにブリテン島へとやってきました。その後、この3つの部族はアングロ・サクソン人 (Anglo-Saxons) となって、七王国 (Heptarchy) と呼ばれる7つの王国を建てることになります。
そして、このアングロ・サクソン人が話していた言語が、私たちの学習している「英語」のルーツとなります。その起源をさかのぼれば、ゲルマン祖語 (Proto-Germanic language) から枝分かれしたゲルマン語族です。さらに、そのゲルマン祖語がどこから来たのかというと、ケルト語やラテン語と同じようにインド・ヨーロッパ祖語 (Proto-Indo-European language) にたどり着きます。
下の図は、ゲルマン語がどのように枝分かれし、それぞれ発展してきたかを表した略図です。赤い文字で記した部分が英語の流れを示しています。(ゲルマン語に関する詳しい説明は、ゲルマン語についてを参照してください。)
つまり、「英語」の流れは、インド・ヨーロッパ語 → ゲルマン祖語 (Proto-Germanic) → 西ゲルマン語群 (West Germanic) → 北海ゲルマン諸語 (North Sea Germanic) → アングロ・フリジア語群 (Anglo-Frisian) → 原始アングル語 (Primitive Anglic) → 古英語 (Old English) → 中(期)英語 (Middle English) → 近代英語 (Modern English) となるわけです。
ところで、この「English」という名前の語源は Englisc 「アングル族の」という言葉です。そのアングル族の起源は、現在のデンマークにあるユトランド半島 (Jutland) ( CHECK )ですが、その地形が釣り針に似ているため、ゲルマン祖語で「釣り針」の意味をもつ anguz(アングズ)という単語が使われるようになったというのです。
また、この anguz にはもう1つ「狭い」という意味もありますが、それも魚の釣り針が狭くなっていることに関係があるのではないかと言われています。事実、ゲルマン言語の祖先であるインド・ヨーロッパ祖語でも同じような単語があり、「狭い、曲げる」という意味合いを持っているようです。北方のゲルマン民族は海岸地域に住んでいたことから、魚や釣りに関連が深いといえるでしょう。
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