Last update March 23, 2022

アイルランド英語の発音

発音の同化と分裂 (2)

発音の同化 (2)

 winewhine の同化の不在
他の英語圏では一般的な傾向である、whatwhich などの「wh」の部分の発音が wine などの「w」の音と同化する winewhine の同化 (Wine–whine merger) がみられず、区別して発音されます。これもアイルランド英語の顕著な特徴で、スコットランド英語にもみられます。専門的な IPA 記号では /w/ を上下反転させた /ʍ/ という記号を使います。

単語 アイルランド英語 イギリス英語 アメリカ英語
wine /wa(ɑ)ɪn/ /wɑɪn/ /wɑɪn/
whine a(ɑ)ɪn/ /wɑɪn/ /wɑɪn/

 /ʌ//ʊ/ の同化
ダブリンの労働者階級など、地域や話者によっては、putt/ʌ/put/ʊ/ と同化し、いずれも /ʊ/ で発音される傾向がみられます。また、putcut などの /ʌ/ の発音は区別しながらも puttputlookluck などのペアは同じように発音するという傾向もあります。

例)putt、put
単語 アイルランド英語 イギリス英語 アメリカ英語
putt /pʊt/ /pʌt/ /pʌt/
put /pʊt/ /pʊt/ /pʊt/

 その他の同化
その他、地域や話者によって異なりますが、footgoose の同化 (Foot–goose merger)lineloin の同化 (Line–loin merger)pinpen の同化 (Pin–pen merger)squarenurse の同化 (Square–nurse merger) などの傾向もみられます。