冠詞の役割
こうして、ラテン語の指示詞から「冠詞」が生まれたわけですが、その役割をまとめると次のようなイメージになります。
まず、ここでいう「名詞のインスタンス化」とは、名詞を単なる概念から具体的なものに変えるという意味です。たとえば、不定冠詞の
un や
una をつけることで「1つの○○」という具体的な名詞になります。不定冠詞をつけると、すでに出てきた名詞であるとか、共通の認識によって「特定できる名詞」なのだという具体性を持たせることができるわけです。また同時に、それが男性名詞か女性名詞か、単数か複数かという名詞の属性を表すこともできます。
さらに、不定冠詞を使うことで、その名詞の意味を強調したり深めたりすることもできます。定冠詞は名詞を特定・限定することから、名詞の参照する範囲を狭めたり広げたりすることもできます。ここでは、大きくこういう役割があるのだというイメージをつかんでおいてください。
定冠詞、不定冠詞の個々の役割については、それぞれ、
スペイン語の定冠詞の特徴、
スペイン語の不定冠詞の特徴を参照してください。