Last update January 1, 2023


Comma , コンマ (10)


10.  非制限的な用法。   戻る


まず、例文を見てみましょう。

 a) Your brother, John, ate my ice cream.
 b) Your brother John ate my ice cream.
 c) The girl who lives next door came to work in our office.
 d) Mr. Suzuki, who lives in Tokyo, came to work in our office.

これは4. 付加情報を付け加える場合に使用でも説明しましたが、コンマひとつとっても、やはり、その裏には情報や気持ちが隠されているということです。

「非制限的」というとむずかしそうですが、要は「本筋から無視してもいいような」フレーズなり、文章であるということです。よく話の長い人がいますが、なぜ話が長くなるかと言うと、本筋には直接関係ない付随する要素を細かく話してしまうからですね。

例えば、「昨日ある人がお宅のお店に行きたいというので住所教えといたので、よろしくね。」ということを伝えるのに、そのある人は、どんな人で、どこに住んでいて、自分とはどんな関係でといったことまで伝えようとするから長くなるわけですが、こういった本筋から無視できるような内容をコンマで囲むというルールがあるということです。

しかし、ここでややこしいのは、コンマを使う場合と使わない場合とで意味が変わってくるということです。コンマを使って囲む場合は「無視できる情報」なのですが、コンマを使わない場合は「無視できない情報」であるという含みがあるわけです。

例文の a)b) を見てみると、a) の例文では、コンマを使用しているので、ジョンという名前は付け足しになります。つまり、兄弟はジョンくん一人しかいないので区別しなくていいわけです。「キミの弟であるジョンくん」という意味になります。ところが、b) は「キミの弟のジョンくん」となり、この場合、弟は一人ではありません。つまり、どの弟かを言いたいわけですから、コンマは使用しません。

同じように c)d) では、それぞれ「なんと、隣りの女の子が会社に来てね」、「スズキさんという人なんだけど、―なんでも東京に住んでるらしいけど― その人が来たんだ」といった感じになります。c) では「隣りに住んでいる」ということが言いたいことなので、コンマはつきませんが、d) ではスズキさんという名前のほうが大事で、東京に住んでいることは二の次、つまり、付随情報だと言えます。