Last update January 1, 2023


Comma , コンマ (2)


2.  独立した文章を2つつなぐときの接続詞の前に使用。   戻る


まず、ここの「独立した文章」ですが、専門用語で言うと「独立節(どくりつせつ)」 (an independent clause) ということになります。ちなみに「」とは「主語」 (subject) と「述語」 (predicate) をちゃんと具えている文章ということになりますが、そういった「節」がなおかつ「独立」しているということです。

逆に、「独立していない節」はどんなものかと言うと、「従属節(じゅうぞくせつ)」などとも呼んでいますが、下の例文の下線部のような文章がそれに該当します。

 I know that you love dogs.
 He smiled at me when I greeted him.
 This is the car I bought yesterday.


つまり、上の下線分のような文章のように、他の文章に依存したものではなく「独立」した文章のことを「独立節」というわけです。

ということで、例文を見てみましょう。

 I found a kitten and brought it home.
 I found a kitten, and it followed me home.

上の最初の例文では、brought it home の主語は最初の「I」が省かれています。つまり完全な文章とは言えないため、and でつないでもコンマがつきません。

それに対して、二番目の例文の it followed me home の主語はit(=cat)であり、完全な文章になっています。つまり、前半の I found a kittenit followed me home も独立した文章となるので、それを and でつなぐ場合はコンマが必要なのです。

もう少し見てみましょう。

 He went to Paris(,) and so did my sister.
 I'm fine today and my sister too.

上の例文の場合は、so did という表現になっているため、前半の文章に依存していると言えばしていますね。しかし、主語と述語はちゃんとあるので「独立節」と言えます。こういう場合は、コンマはつけてもつけなくても問題はありません。

しかし、二番目の例文になると、主語はあっても述語はあるとは言えません。つまり「独立した文章」とは言えないためコンマはつけません。

ちなみに、ここの too の前にはコンマが必要じゃないのかと思う人もいるかもしれませんが、too の前のコンマはつけてもつけなくてもかまいません。とくに too が最後に来る場合はコンマは不要だという意見もあります。また、強調したいときにはコンマをつけるという考え方もあるようです。どの方針を選ぶにしろ、同一文書内ではツールを統一するようにしましょう。

ところで、接続詞は conjunction と呼ばれますが、and 以外にも butfornoryetorso などがあり、文字通り文章と文章をつなぐ役割をします。

 He did his best, but his boss didn't like his ideas.
 It was fine yesterday, so we went on a picnic.
 She is gentle but strong.

ちなみに、最後の例文では、but の前にコンマはつきません。but の後に来ているものが完全な文章ではないからですね。

また、日本語は「しかし」、「そして」などの接続詞が来ると、その後に「、」をつけることが多いのですが、英語では「前」につきます。日本語の感覚でコンマをつけようとすると、なんとなく but の後にコンマをつけたくなります。「息つぎ」という意味では、「しかし」と言った後におもむろにポーズを置いたりするのですが、これは話し言葉でのことで、ライティングには当てはまりません。

ネイティブもよく間違うことがあるらしく、ライティングのノウハウマニュアルなどにも「間違い」として指摘されています。

つまり、 But, she did get it done on time. という用法は適切ではないということです。この場合、文章の頭に but が来ているので、その前にコンマは不要ですが、but の後にもコンマが不要だというわけです。

では、こんな場合はどうでしょう?

 But, to be fair, she did get it done on time.

ご覧の通り、 But のあとにコンマがついているのですが、これは実は、But のためのコンマではありません。じゃあ何のためのコンマなんだ、ということですが、次の to be fair のためのコンマです。この to be fair のように、文章の合間にチラッと入れる言葉を「挿入句」と言いますが、挿入句が入るときはその前後にコンマが入るわけです。